第10期全国人民代表者会議第4回会議の開催

カテゴリー:雇用・失業問題

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  • 国別労働トピック:2006年4月

中国の国会にあたる全国人民代表大会(全人代)が3月5日から14日の10日間にわたり開催された。今年は、2010年に向けた「経済社会発展のための第11次5カ年計画」の最初の年にあたる。昨年10月に共産党大会(第16期中央委員会第5回全体会議)で採択された「第11次5カ年計画」草案は、鄧小平の「3つの代表」の精神を基本とするものであるが、この草案が今回の大会において正式に決議された。(2005年12月海外労働情報参照)

ちなみに、同時に開催された協商会議においては国務院の提出した「政府事業報告と要綱」草案が討議されたが、こちらも全人代において正式に採択されている。

「経済社会発展のための第11次5カ年計画」は、14編38章で構成された実践的科学発展観を基調とした行動要領であり、2006年から2010年までの今後5年間の国民経済と社会の発展到達目標および指導方針、主要事業が示されている。

「新5カ年計画」によると、今期の主要目標は、社会主義新農村建設、公平で建設的な社会の構築、サービス産業の発展をめざす社会イノベーションの促進、経済成長方式の転換、科学技術振興戦略と人材強国戦略の実行、資源節約型社会と環境にやさしい社会の建設、機構改革の推進等々であり、その実現にむけ、現在の中国社会が抱える矛盾や問題を正確に把握し、解決の道を探ることに全力を結集していく方針が示された。

第11次5カ年計画経済社会発展に関する主要指標
  指標 2005年 2010年 年平均増加率
(%)
経済成長
国内生産総額(万億元) 18.2 26.1 7.5
一人当たり国内生産総額(元) 13985 19270 6.6
経済構造 サービス業増加比率(%) 40.3 43.3 (3)
サービス業就業比率(%) 31.3 35.3 (4)
研究と試験発展経費支出の国内総生産額に占める割合(%) 1.3 2 (0.7)
都市化率(%) 43 47 (4)
人口資源環境 全国総人口(万人) 130756 1336000 <8%
単位あたり国内生産総額エネルギー消費低下率(%)     (20)
単位工業増加値用水量低下率(%)     (30)
農業潅水用水有効利用係数(%) 0.45 0.5 (0.05)
工業用廃物総合利用率(%) 55.8 60 (4.2)
耕地保有量(億ヘクタール) 1.22 1.2 -0.3
主要汚染廃棄物総量減少率(%)     (10)
森林率(%) 18.2 20 (1.8)
公共サービス
人民生活
国民平均教育年限(年) 8.5 9 (0.5)
都市基本養老保険カバー率(%) 1.74 2.23 5.1
新型農村合作医療カバー率(%) 23.5 80 (56.5)
5年都市就業新規増加数(万人)     (4500)
5年転換農業力(万人)     (4500)
都市登録失業率(%) 4.2 5  
都市居住者一人当たり平均支配収入(元) 10493 13390 5
農村居住者一人当たり平均純収入(元) 3255 4150 5

注:国内総生産額都市居住民収入は2005年の数字。[]内の数字は5年間の累計数。主要汚染物とは二気化硫汚染物のこと。

3月14日の午前に開かれた記者会見では温家宝首相が臨み、国内有力紙、香港、台湾、アメリカ、イギリス、日本等の記者からの質問に答えた。質問は、「社会主義農村建設が今回のテーマの中でもっとも注目を集める議題であったが、『三農問題』の解決にむけ3397億元が投じられるということだが、現在新農村建設のためにどのような課題が論じられているのか、従来の農村政策との違いは何か」、「農民の土地など権利の問題はどのように解決されるのか」「環境問題について毎日排出される17857トンのごみ処理の問題をどのように考えるか」「政府事業報告に示される農村義務教育の実施について13億の人口を抱える中で本当に実施は可能なのか」などの国内の具体的問題への政府の対応に関する内容のほか、返還後9年を経た香港の中国における位置づけや台湾との関係についての政府の考え方、日本との関係、特に小泉政権後の日本との付き合い方についてどのような方針か、インド、アメリカとの関係などの外交問題、人民元の今後の動向など、グローバル化が進む中で中国が国際的影響力を強めた結果として、諸外国が中国の今後の動向へ関心を高めていることを反映した内容が集中的に投げかけられた。

参考資料

  • 工人日報2006年3月15日、17日

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