コールセンターの雇用拡大が期待されるも、人材不足が顕在化
―英会話能力の低下が原因

カテゴリー:雇用・失業問題

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  • 国別労働トピック:2006年2月

St.トマス労働雇用相は、2006年1月10日、ラジオ局のインタビューで、コールセンター産業における雇用の拡大が充分に期待されながらも、英語力の低下を原因とする人材不足が顕在化しているとし、優秀な人材の育成の課題を指摘した。

同相によれば、コールセンター産業の規模は、2000年の2400万米ドルから2005年には10億米ドルにまで拡大した。雇用者数も2005年にはおよそ11万2000人にまで増加。2400人にすぎなかった2000年と比較すると、飛躍的な伸びであることがわかる。海外からのアウトソーシング需要はますます伸びており、政府は、2010年までに国内コールセンター産業を100億米ドルにまで拡大する方針を示している。これは、世界市場のおよそ5%にあたるとされる。

こうした産業の拡大に伴い、雇用者数も引き続き大きく伸びるという期待がされながらも、現実には人材不足という問題が生じていることを、同相は明らかにした。その主要な原因のひとつは、フィリピン人の英語力の低下。企業の面接を受ける100人のうち、合格するのはたったの5人~10人。ほとんどの志願者が、英語力の低さから面接を通過できないのが現実という。

この問題の一部には、文化的な背景もあると同相は指摘している。フィリピン人は、英語の読み書きの能力は高い。しかし、会話においては、文法的な間違い等があってもそれを修正しない傾向があるという。しかしながら、こうした問題を解決し、優秀な人材を育成しなければ、コールセンター産業の持続的な成長は望めない。

同相は、英語の熟達したフィリピン人労働者の育成が大きな課題であるとし、教育機関はフィリピン人の英会話能力向上に努め、コールセンター産業の需要に応える人材の育成に向けて、各種政府機関間でミーティングを重ね、計画を練る必要がるあることを強調した。

参考レート

  • 1米ドル=117.96円(※みずほ銀行リンク先を新しいウィンドウでひらくホームページ2006年2月8日現在)

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