2006年の主要な社会・雇用政策

カテゴリー:労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2006年2月

オランダ政府は、2006年予算に35億ユーロを計上し、購買力の改善を目指している。また、1月1日に施行された新しい障害保険制度や生涯休暇制度などの政策が盛り込まれている。

購買力

政府は、購買力を向上させるため、2006年に合計35億ユーロの予算を計上した。この影響は個人の置かれた状況によって異なる。しかし、ほとんどの人々、とりわけ子供のいる家族は、購買力が増加する。賃金と社会保障手当の関係が見直され、経済成長と賃金上昇に伴って手当額も上昇する。賃金凍結していた団体交渉を行う産業部門の賃金引き上げは、市場で賃金が決まる産業部門にも速やかに波及する。

政府は、新しい医療保険法による負担増を相殺するケア手当を含む、数多くの政策を導入した。加えて、子供は無料で医療保険に加入できる。さらに、児童控除などの税控除が増額され、育児予算が拡充された。16~17歳までの学費は廃止される。地方税は減額され、長期障害者の費用に対する税控除も引き上げられる。これらの政策は人々の給与に直接影響しないが、購買力の増加に寄与する。

育児

政府は、追加的に2億ユーロを投じて、中・高額所得者の育児負担の軽減を目指す。1億6500万ユーロは、育児に対する国の支援の増加および課外の育児(昼休みや始業前、終業後に学校に残る子供)のための施設拡張に支出される。週2日育児が必要な2人の子供を持ち、2人分の中級所得を稼ぐ、共働き夫婦の育児費用は年間1200ユーロ減少する。1.5人分の中級所得を稼ぐ共働き夫婦は800ユーロ、1人分の中級所得を稼ぐ共働き夫婦は260ユーロそれぞれ節約できる。残りの3500万ユーロは、より専門的な課外育児施設の設置およびデイケア施設の改善に活用される。

就労能力に応じた仕事:新しい障害保険制度

新しい「就労能力に応じた仕事」法(WIA)が1月1日に施行された。新しい障害保険制度は、人々の就労能力に焦点を当て、全く働けない人々だけが、障害手当を全額受給できる。部分的に働ける人々は、適切な仕事を見つけるための支援を受ける。それらの人々がパートタイム労働に復帰する場合、最終の賃金を基礎とした水準まで補助される。賃金補助を受給しながら働くことは、常に失業手当や障害手当に完全に依存するよりも有利となる。WIAは、新規の職業障害にのみ適用される。使用者が部分的に働ける障害者を雇い入れた場合、財政的インセンティブが与えられる。

早期退職

2005年1月1日現在55歳以下であった人々に対する早期退職制度の政府補助は廃止される。これも人々により長く働いてもらうための政策の一環である。

生涯休暇制度(Life Course Plan)

2006年には、休暇のために貯蓄する人々に対して税控除を与える生涯休暇制度が導入される。労働者は、年間総収入の12%、年収の2年分を上限に貯蓄することができる。代償休日や休暇も(部分的に)現金化して、この休暇制度に貯蓄できる。労働者が最終的に資金を引き出す際、生涯休暇制度に参加していた1年ごとにつき183ユーロの追加的税額控除を受けられる。もし貯蓄を両親休暇に利用する場合、労働者は、さらなる税控除(付与された全期間の休暇を取得する場合、632ユーロ)が受けられる。

出所

参考レート

  • 1ユーロ=141.30円(※みずほ銀行リンク先を新しいウィンドウでひらくホームページ2006年2月8日現在)

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