2006年は、「欧州労働者の移動年」

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  • 国別労働トピック:2006年2月

欧州は、2006年を「欧州労働者の移動年」に指定し、移動の重要性、労働者や経済に与える利益、現存する支援措置などの広報に努めている。労働者の移動には、労働者が転職する頻度に関する「仕事の移動性」と、加盟国内または加盟国間における地域間の労働者の移動に関する「地理的移動性」の2つの観点がある。

EU労働市場では、いくつかの地域や産業において高い失業率や技能・労働力の不足が特徴的であり、より多くの良質な雇用を生み出すためには、仕事の移動性の拡大が重要となっている。

仕事の移動性を経験した労働者は、より変化に順応しやすい傾向がある。転職は、新たな技術と知識を身につけさせ、仕事の満足度を増やし、エンプロイヤビリティーを向上させる。

地理的な移動性は、あまり一般的ではなかったが、グローバル化の文脈で増加傾向にある。仕事のために国を移動することは、職業的にも個人的にも非常に価値のある経験であるが、たやすいことではない。不慣れな労働市場で仕事を見つける際、労働者の資格と経験が受入れ国において認められない可能性や受入れ国の高い言語レベルを要求される場合がある。また、他国への移動に関係する不可避の行政的、法的および個人的費用が発生する。こうした法的、慣習的、社会的障害を緩和し、地理的移動性を促進することが欧州の課題となっている。

「欧州労働者の移動年」は、EUレベルの政治的アジェンダと表裏一体で実施される。2006年には、拡大EUの労働者の自由移動に関する経過措置および技術と移動性行動計画のフォローアップに関する重要な決定が行われる。また、欧州全域の求人情報を掲載する新しいポータル・サイトが導入される。さらに、欧州健康保険証の導入や年金権の移動性を改善するための指令案に関する進展が期待される。

2006年の「欧州労働者の移動年」に当たり、EUは、(1)労働者の自由移動の権利、地理的および仕事の移動性の支援サービス、移動労働者が直面する障壁の緩和などに関する認識の向上(2)政府機関、労使団体、民間企業などの利害関係者の間での好事例の普及促進(3)地理的、職業的な移動の規模と性質に関する詳しい研究の促進――の3つの達成目標を掲げている。その実現のため、次の4分野の活動を計画している。

  • 移動性を促進し、その挑戦と利益に関する認識を向上させるためのEUレベルの活動と行事
  • 「欧州労働者の移動年」の全体目標に合致し、すべての利害関係者によって促進される、国、地域および地域・国境・国家を越えた活動
  • 国、国家間、EUレベルの調査研究
  • 公的機関、民間組織が実施するその他の活動も、「欧州労働者の移動年」の1つ以上の目標に関連している限り、移動年と関連づけることができる。

出所

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