労働関連三法案が国会を通過

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  • 国別労働トピック:2006年12月

2006年11月、労働者輸出法案、労働法典の一部改正法案、職業訓練法案の3法案が国会を通過した。

労働者輸出法の概要

現在ベトナム政府は「2005-2010年労働者輸出計画」の下、年間の派遣者数について数値目標を設定し派遣促進に取り組んでいる。2006年の派遣者数年度目標である8万人を突破の見込みだ。海外派遣が拡大する一方で様々な問題が浮上している。とりわけ労働者派遣会社をめぐるトラブルが後をたたず、法整備を求める声が高まっていた。

今回通過した労働者輸出法案には、労働者派遣企業の支社展開を最大3カ所までに限定すること、海外に派遣された労働者の給与が手数料より低い場合は、国が仲介料の引き下げを指導すること、個人契約で海外に出稼ぎに行く場合でも労働・傷病兵・社会省の許可を得ることなどが規定された。施行は07年7月の予定となっている。

労働法典の一部改正の概要

ベトナムでは労働三権が認められており、労働者にスト権を付与している。争議行為については、労働調停委員会又は労働仲裁委員会が労使紛争の解決にあたっている間はストライキやロックアウトなどの争議行為を行うことはできないという「調整前置主義」が取られているが、集団的労使紛争処理システムは複雑であるなどの理由からほとんど機能しておらず、発生したストライキの多くが山猫ストライキとなっているのが現状である。これを受けて今回の改正では労働争議に関して、労働争議の分類、ストライキ実施の際の関係者への意見聴取、ストライキ実行の決定、ストライキ解決権限、禁止行為、違法ストライキの認定などについて規定している。

職業訓練法の概要

WTO加盟を契機に競争力を持つ産業を支える労働力の育成が急務となっている。ベトナムで職業訓練を行う主な機関には、職業訓練校職業訓練センター、雇用サービスセンターなどがあるが、設備の大部分が旧式化し、プログラムも産業界のニーズにこたえる内容とはいえないものが多いなど、充分な効果をあげてこなかった。国内企業の国際競争力向上に向けて、政府は国営企業改革、民間企業育成を柱とする国内企業の再編を迫られている。職業訓練法案では、中級職業訓練課程で、中学校卒業レベルの受講者が職業訓練とともに一般教養も学習し、課程終了時に高校レベルの教養を身に付けることなどが規定されている。

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