労働社会事業発展のための「第11次5カ年計画」発表される

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  • 国別労働トピック:2006年12月

2006年1月から始まった「第11次5カ年計画」の実施を受け、労働社会保障分野の「事業計画綱要」策定のための検討が進められてきたが、このたび取りまとめが完了し、10月13日付けで国務院より「労働社会保障事業発展のための第11次5カ年計画綱要に関する通知」として発表された(注1)。(目次参照)

発表にあたっては、全国労働保障関連部門への徹底化のため、労働社会保障部下部機関、各省、自治区、直轄市の労働保障庁および労働保障局の各関係者への周知徹底を図った。

労働社会保障部の田成平部長は、11月15日の通知の徹底化のための全国会議の席上で、「計画概要は、労働社会保障史上初の党中央、国務院による社会保障事業に関する重大戦略の決定であり、社会主義及び調和社会を実現徹底化のための重要な計画である。」と強調、「3つの代表」理論の指導方針と科学発展観を統率理論としながら、生活水準の向上と経済的安定と迅速な発展のための指針として現実的意義と戦略的意義をもつものであることを指摘した。

このようなスタンスに基づき、労働社会保障事業としては、労働者全体への配慮への転換、社会保障制度の初歩的な基礎の構築から健全で整備され充実した社会保障制度への転換、充分な就業機会と合理的な収入配分、労働関係の基本的な調査と安定、社会保障システムの整備、効果的な管理サービス規範の構築など計画目標を段階的に実現しなければならないとの課題も同時に提示している。

さらに、今期計画の実施は1連のプロジェクトであると位置づけ、実現のための具体的仕組み作りの重要性を指摘した。すなわち、組織的協力を強化しつつ、制度、政策、措置、任務、人員、機関、資金配分、明確な量的質的目標の融合、実現プログラムの策定、評価と監査、追跡調査と分析、計画の調整など計画実施メカニズムが有効に作用するように組織的に組み立てていかなければならないことも強調している。

労働・社会保障事業の発展に関する『第11次5カ年(15)』計画綱要(2006年~2010年)目次

序言

1.「15(第10次5カ年計画)」期間における主な成果と経験

  1. 主な成果
    1. 就業・再就業の問題においての顕著な成果
    2. 職業訓練においての大きな進展
    3. 社会保障事業の目覚しい進展
    4. 労働関係調整メカニズムの初歩的形成
    5. 労働保障法制の構築における新しい進展
  2. 主な経験
    1. 党中央および国務院から高く重視されることが、労働保障事業の全面的かつ調和の取れた持続可能な発展を推進するための根本的な保証となる
    2. 科学的発展観を全面的に実行に移すことは、労働保障事業を確実に行うための重要な指針となる
    3. 労働者の根本的利益を擁護することは、労働保障事業を成功裏に遂行するための出発点であり、足がかりである
    4. 適法に行政活動を行う姿勢を堅持することは、労働保障事業を成功裏に遂行するための強力な保障となる
    5. 就職基礎能力の育成を強化することは、労働保障事業を成功裏に遂行するための必要条件である

2.「15」期間において直面する情勢

  1. 雇用情勢は依然として厳しい状況である
  2. 社会保障制度は早急な完備が望まれている
  3. 労働関係における矛盾が日増しに顕在化している

3.「15」期間における指導思想と基本原則

  1. 指導思想
  2. 基本原則
    1. 人間本位という理念を堅持し、労働者の合法的権益を的確に擁護する
    2. 統1的に計画し、かつ各方面に配慮するという原則を堅持し、協調的発展を促進する
    3. 改革の深化を堅持し、業務メカニズムを刷新する

4.「15」期間における発展目標と主な任務

  1. 発展目標
    1. 就業機会の継続的な増大を図る
    2. 労働者の資質を不断に向上させる
    3. 社会保障体系を完備する
    4. 労働関係を概ね調和的・安定的に維持する
    5. 労働保障法制を健全化する
  2. 主な任務
    1. 就業促進の長期的戦略および政策を実施し、あらゆる手段を講じて就業を拡大する
    2. 職業教育および訓練を強力に推進し、労働者の技能と資質の向上を加速させる
    3. 社会保障体系の完備を加速し、社会保障力を増強する
    4. 労働関係調整メカニズムを健全化し、調和の取れた労働関係を創造する
    5. 労働保障法制の構築を強化し、法に基づいた行政を堅持する

5.「15」期間における保障措置

  1. 政府の投入を拡大し、政策面からの扶助を強化する
  2. 重要プロジェクトおよび制度改革を実施する
  3. 労働保障の情報化構築を強化する
  4. 労働保障に関する科学技術研究を強化する
  5. 国際交流と国際協力を強化する
  6. 労働保障事業の広報活動を強化する
  7. 労働保障システムの能力構築を強化する

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