今後7年間で脱税対策

カテゴリー:勤労者生活・意識

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  • 国別労働トピック:2006年10月

イタリアには大規模な改革が必要とされている領域がある。納税、つまり、公平な方法で、すべての人が税金を納めるということである。

プローディ首相は、財政法および同法に密接に関するテーマ、つまり脱税に関する報告書の検討を以前から行っているが、昨日は、この点に関して、ピエロ・バルッチ旧国庫大臣およびクラウディオ・マルティーニトスカーナ知事と話し合いの場を設けている。首相は、聖母被昇天の祝日(8月15日)の最中にも会談を設けて、この問題について議論した。

経済省の最新のデータによれば、4人に1人のイタリア人が、自らの所得を、年に6000ユーロ未満(月に500ユーロ未満)と申告している。つまり、イタリアでは、約1000万人が貧困状態にあることになるが、これは現状を反映した数字ではないだろう。キアーラ・サラチェーノ教授によれば、2005年における労働収入のあるイタリア人の平均税控除前所得は、年に1万6000ユーロ(月1350ユーロ)であり、また、ISTAT(国立統計局)による2005年の消費に関する調査では、1家族は、月平均で2398ユーロを消費しているとされる。プローディ首相は、「第1に、税金を納付させることのできない国は、国の目的を達成することができない。第2に、こうした国は、未開な国である。第3に、かりに税金を納付させることができれば、税率を引き下げることもできる。脱税はかくも大きな問題なのだ」と述べている。235万人のうち約200万人の事業主、そして、83万人の専門職のうち46万人が、年の所得をゼロないし4万ユーロと申告している。年の所得が20万ユーロを越えると申告したのは、所得申告者の0.14%に当たる5万5700人にすぎない。

しかし、これまで誰も、こうした状況を変えることはできなかった。これに対して、プローディは、前回政権に就いた2年半(1996年から1998年まで)の間に、「脱税は著しく減った」として、こうした評価を否定するが、「問題の解決には時間が必要であり、継続的な租税政策を7年ないし8年実施していかねばならない」としている。その方法としては、「監視手続を適切に定めなければならない」。また、より適切な納税が求められるカテゴリー、あるいは、脱税対策の手始めとすべきカテゴリーは、帳簿類を用いないカテゴリー(つまり、自営業者)であり、反対に、「脱税の少ない被用者は、労働者自身が管理しない強固な帳簿制度を有している」と指摘している。

自営業者に適切な納税を求めることは、自営業者からの不評を招くおそれがないだろうか。イタリアでは、国は国民を信用せず、国民は国を信用しないといわれており、従来は、脱税に対する免除措置と税の取り締まりのシーソーゲームだった。多くの人が口にするような「広く了解をとりつけること」は、税金の問題についてはほとんど不可能であるように思われる。この点、プローディは、「私は、イタリアは、公正さを望む成熟した国だと信じている。重要なのは、過ちを犯さないように、焦らず慎重に対処することである。脱税に対する闘いは、現在の政府のDNAに刻み込まれたものなのである」と述べている。

参考

  • Corriere della Sera紙(8月17日付)

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