記録的に低下した失業率

カテゴリー:雇用・失業問題統計

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  • 国別労働トピック:2006年10月

デンマーク統計局が8月に公表した統計によると、2006年6月の失業率は対労働力人口比で4.4%、過去30年間で最低の数値であることが明らかになった。1980年代から1990年代の中期にかけて10%前後であった失業率は1994年、活性化路線を前面に打ち出した積極的労働市場政策を柱とした改正労働市場法が施行されたことで、1990年代中期から徐々に下降の傾向を示し、2000年以降は5%を下回る低いレベルを保っている。(表1)

表1:失業率の推移(*2006年8月現在)

表1

出所:Statistisk Tiarsoversigt 2006, Danmarks Statistik

今後の動向

労働運動産業評議会(AE)(注1)は、今後失業率はさらに減少し、2006年6月に12万2100人だった実質失業者数は近い将来には11万6000人になるだろうと予測している。ただし、失業率がさらに低下する条件として同評議会は、(1)移民や移民二世のデンマーク社会への統合(社会統合)が一段と進展すること、(2)非熟練工失業者がスキルアップを目的とした研修や教育を通じて、専門分化が一段と進行する今日の労働市場の求人ニーズに応えること等をあげている。

労働力の不足

近年、失業率の低下に伴い、労働力不足が顕在化し、社会問題となっている。労働力不足は労働市場全般に及んでいるが、特に土木建築業界における労働力不足は深刻化している。このような状況の中、通称「イースト・アグリーメント」と呼ばれる「新規EU加盟国からの労働者のデンマーク労働市場参入に関する取り決め」が2006年4月に改正された。外国から労働者を受入れすることに関する事務的な手続きが簡素化されたことで、旧東ヨーロッパ諸国からの労働者に交付される労働許可証も急激に増加している。だが、同労働者の実数は対デンマーク労働人口比で0.3%で、現時点においては僅かな割合にとどまっている。

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