外国人労働者の医療費補助金打ち切り

カテゴリー:外国人労働者

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  • 国別労働トピック:2006年1月

2006年1月1日より、外国人労働者はポリクリニック(国立診療所)での医療費補助を受けることができなくなる。外国人は基本的な診察料S$16.00と1週間分の各種投薬料およそS$2.80を全額支払わねばならなくなるわけで、これは現在のおよそ2倍の金額になる。シンガポールでの永住権を持つ外国人は補助金が半額になる。彼らは診察にS$12.00、1週間分の各種投薬料としてS$2.10を支払うようになる。シンガポール人だけがこれまで通りの50.0パーセントの補助金を引き続き受けることができる。彼らは診察にS$8.00、投薬にS$1.40を支払う。

コー・ブンワン保健相がこれらの改革を発表したのは最近のことだった。大臣は「外国人労働者に医療を提供するのは彼らの雇用者の責任であるべきで、補助金の支給は適切ではない。また、雇用者の大部分は治療が必要な従業員を私立のクリニックへ行かせているが、適切なやり方」と述べている。これで、シンガポール国内の18のポリクリニックにおいて、医師の受け持つ総患者数のうち外国人労働者がおよそ5.0パーセントしか占めていない状況の説明がつく。

外国人労働者62万人のうち、87.0パーセントに当たる54万人が労働許可証を保持している。この中には、外国人のメイドや建設労働者が含まれる。コー大臣は、補助金の撤廃とともに、雇用者が外国人労働者のために医療保険に加入するのは当然のこととしている。コー大臣は「大部分の外国人労働者は若くて健康。保険料はかなり安価であるはずで雇用者は1カ月に2~3ドルを余計に支払うだけで心の安らぎを得ることができる」とその有効性を主張している。人材開発相のン・エン・ヘン博士は、外国人労働者のためのグループ保険の提供について雇用者が人材開発省に支援を求めるのであれば、検討すると述べた。

補助金見直しの直接のきっかけになったのは、数カ月前のデング熱発生の際、国内の公立病院のベッド数が不足したことだった。貧しく高齢なシンガポール人が、まず公共の医療資源の恩恵にあずかるべきだと、コー大臣は述べた。さらに保健省は、外国人の入院治療に対する政府補助金の引き揚げも視野に入れている。しかしこれは、値ごろ感の問題のためにある程度時間がかかるだろう。コー大臣はまた、様々な部門からのフィードバックも求めて行きたいと考えている。

予想通り、外国人労働者の雇用者たちは医療費補助の撤廃を歓迎していない。彼らは、ポリクリニックの医療費の値上がりは企業の収益を損ねるとした。シンガポール請負業者協会Singapore Contractors Associationのスポークスマンは、個々の企業にとって金額そのものはたいしたものではないと思われるが、それがビジネスコストに跳ね返る事は避けられないと述べている。

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