MEFが会員企業の調査結果を発表
―生産性・業績連動型給与制度の定着、昇給率低下(2006年)、実務経験より能力重視の採用活動

カテゴリー:労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2006年1月

2005年12月5日、マレーシア経営者連盟(MEF)は今回で第11回目となる「管理職・一般従業員の給与・福利厚生費に関する調査」の結果を発表した。それによると、給与と業績を連動させている企業が回答企業の7~8割を占め(管理職の場合80.4%、一般従業員は73.8%)、生産性・業績連動型給与制度の定着が進んでいることが明らかになった。また昇給の決定要因として、回答企業の大半が従業員の業績(管理職で93.2%、一般従業員で80.7%)と、会社の支払能力(管理職で67.4%、一般従業員で58.0%)を挙げた。調査結果を発表する記者会見でモハマド・ユソフMEF副会長は、国家競争力を確保し、強化するために、生産性・業績連動型の給与制度の実施が重要な方策であるとの考えを強調した。

MEFの「2005年給与・福利厚生費に関する調査」には、管理職調査で246社、一般従業員調査で247社のMEF会員企業から回答があった。調査対象となったのは、146の職種の合計16807人の管理職、139の職種の合計73039人の一般従業員であった。MEFによると、調査データは業種、地域、売上高、資本所有形態、労働組合の有無、及び国内・多国籍企業別に分析される。

同調査で2006年の昇給率見通しについて聞いたところ、回答企業の6割強が管理職・一般従業員ともに昇給を予定しているものの、2005年度に比べ昇給率を下げる見通しであることが明らかになった。2005年の場合、管理職の平均昇給率は5.91%、一般従業員は5.69%であったが、2006年の昇給率見込みは、管理職で平均5.61%、一般従業員は5.62%である。MEF副会長はこの調査結果について、(1)第9次マレーシア計画(2006-2010年)及び第3次インダストリアル・マスター・プラン(2006-2020年)が未発表であること、(2)石油価格の動向が不安定――などの要因を挙げ、企業が先の見通しについて慎重な姿勢を取ったとの見方を示した。

また本調査では、企業の採用活動において、実務経験のない者の採用が進んでいるとの実態が明らかになった。これについて同副会長は、企業が採用を行う際の実務経験の重要度が低下していること、企業の知識経済志向、知的能力重視の傾向を示していると指摘した。ちなみに実務経験のない修士・博士などの高学位保持者を管理職として採用する場合の平均月額初任給を見ると、2004年の1828リンギから2005年は1866リンギに上がった。次いで一般従業員採用については、中等教育修了資格試験(SPM)合格者で実務経験がない場合、平均月額初任給は2004年の677リンギから2005年は683リンギに上昇。学位取得者で一般従業員の場合の月額初任給も、2004年の1211リンギから2005年には1229リンギへと増加している。

参考

  • MEFホームページ、12月6日付けニューストレイツタイムス

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