INPS、40年間で初めての黒字

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  • 国別労働トピック:2006年1月

2004年のINPS(全国社会保障機関)の収支が、ここ40年間で初めて黒字となった。黒字額は52億ユーロを超え、INPS運営陣は一様に安堵している。

ただし、イタリアの社会保障という「重病人」に性急な診断は禁物であろう。実際、2004年のデータは、景気の好調、とくに雇用の増加が保険料収入の増加(前年比7.3%増)と加入者の増加(2003年に比べて62万人増え2000万人に達した)に支えられている。加入者の増加については、従属労働者(被用者)が絶対数で0.3%増、独立労働者(自営業者)が2%増であるのに対し、co.co.co(準従属労働者)が17.4%も増加しているのが特徴である。さらに、監視活動の成果(約12億ユーロの保険料未納が摘発され、5億100万ユーロの罰金が徴収された)や、退職延期に対するインセンティブ措置による年功年金受給の先送りの影響もあるとみられている。

最近更新されたINPS収支予測によると、2005年の状況は2004年ほど良くないといわれている。年金受給件数は1790万件から1810万件に増加し、給付にかかる支出(失業手当を含む)は1710億ユーロから1760億ユーロに増加する見込みである。また、国庫からINPSへの補助金は630億ユーロから約760億ユーロへと増えるとみられている。

さらに、昨年の好調な収支に寄与した措置の一部は暫定的なものである。たとえば、年金受給先送りに対するインセンティブ措置には「期間の定め」があり、2007年12月31日までに終了する予定である。INPS自体が認めているように、2005年の収支も黒字となろうが、昨年に比べるとその幅はかなり小さくなると予測されている(20億ユーロ強)。

参考

  • 2005年11月5日付Il Sole 24 Ore紙

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