社会保障基金の財政悪化問題

カテゴリー:勤労者生活・意識

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  • 国別労働トピック:2006年1月

労働党政権は、社会保障制度における財政悪化問題を、就任2年目の2004年から検討している。しかし、今のところ何の効果も見えず、赤字は更に拡大しており、抜本的対策が必要となっている。

国民年金と国民医療保護を扱う国家社会保障院の集計によると、2005年1~9月の赤字幅は前年同期の217億5700万レアル(2005年11月の換算率で約94億5957万ドル)より13.7%多い247億3100万レアル(約107億5261万ドル)となった。この結果を元にして同院は、2005年を収入1083億レアル(約471億ドル)支出1469億レアル(約639億ドル)の差引386億レアル(約168億ドル)の赤字と予想している。

財政悪化の要因の一つとして不正受給の問題が指摘される。同院は2004年に、不正受給を防止する手段として年金受給者再登録を実施する予定であったが、手続きの事務処理が官庁の末端まで徹底せず、ただ混乱を起こしただけで途中で放棄された。ようやく2005年11月から再登録が始まっており、徐々に不正受給は整理されていくものと期待されている。その他にも政府は、不正受給が多い疾病手当にも新規制を設け正常化を図ろうと試みたが、これを規制した暫定措置が、政治危機のために、国会で審議が出来ずこれも実現していない。

年金制度加入者からの納付金は2004年9カ月間の694億4400万レアル(約302億ドル)に対し、2005年の9カ月間は9.3%多い758億6700万レアル(約330億ドル)となったが、支出増加が抑制できないため財政悪化は改善されないでいる。

参考

  • valor紙 2005年10月31日付

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