増加する外国人労働者への規制政策

カテゴリー:外国人労働者

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  • 国別労働トピック:2005年9月

技術革新へのデメリット

2005年を移動労働者の年と位置付けるタイ政府と人口・社会研究機構(IPSR)の研究会において、同機構のアピチャート研究員は、増加する未熟練の外国人労働者の問題を、競争化社会の中での技術革新への足かせになる可能性があると報告した。

また同機構のクリッティヤ研究員は、周辺国(ミャンマー、ラオス、カンボジア)からの外国人移民政策に関して、政府は一定の成果を上げていると評価しながらも、タイ人雇用主が外国人労働者から賃金を搾取したり、人権侵害のような問題が起きていることも見逃してはならないと指摘した。

現在、就業登録済みの外国人は、平均1日125から128バーツで雇われている一方(漁船乗組員は129バーツ)、登録外で未熟練の労働者の場合、1日100バーツ以下の場合も少なくないという。タイ語を話せる外国人の場合、多少状況は有利となるが、今後の経済発展に欠かせない製造業の底辺を支える労働者の多くが、彼らのような外国人の未熟練労働者である場合、技術の向上や革新といった転換を迎えることが困難であることを、両研究者は示唆していた。

技能を持った外国人労働者に関しては規制緩和

7月21日のソラアット労相の発表によると、タイ政府はグローバル化を見据えて外国人技能労働者への規制緩和を行っていく計画である。特に、科学や化学の専門家・研究者に関しては、タイでの就労規制を緩和する。また、海外ですでに定年を迎えた専門家をタイに永住・就労しやすいような政策を打ち出す方針もあるという。

スラキアット副総理大臣も、技術者のタイ流入を歓迎する一方で、特に技能を持たずに海外に出稼ぎに行くタイ人への支援の必要性を述べている。特に、英語とコンピュータに関する訓練が必要とされているとしている。

このように、タイ政府が技能労働者に対して規制を緩和していく方針を打ち出しているのに対して、周辺国からの未熟練外国人労働者に関しては、今後も引き続き厳しい政策を採用していくと見られている。

参考

  • Bangkok Post、2005年7月3,5,15,21日

参考レート

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