マレーシアの公務員、週休2日制へ

カテゴリー:労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2005年8月

2005年7月1日より、マレーシアでは、全国で約100万人いるとされる連邦政府・州政府・地方と準政府機関等も含めた公務員の完全週休2日制が導入された。従来の土曜日の隔週半日出勤からの変更で、1日あたりの労働時間を30分延長して総労働時間を調節している。勤務時間は州により異なるが、典型的な勤務時間は8時から17時、休憩が13時~14時の1時間で実働8時間である。(各州の労働時間と休日については、下記表を参照。)なお、ケダー、クランタン、トレンガヌの各州については、従来は木曜日に隔週半日出勤、金曜日が休日であったが、連邦政府が土日週休2日制を導入するに当たり、連邦政府から歩調を合わせるようにとの要請を受け、金曜日と土曜日を休日とするよう改めた。マレーシアのアブドラ首相は、休日・余暇時間の増加により、国内観光業が潤い、経済効果が上がることを期待している。

週休2日制導入に当たっての反響

市民はこれまでよりも長い時間公的サービスを利用できるという恩恵があり、制度を適用される公務員にとっても余暇時間が増加するとの肯定的な反応もあるが、サービスの質や生産性の低下を懸念する声もある。ちなみにペリルス州の州官房長は、週休2日制の導入にあたり、生産性を向上するよう職員に訓示を行っている。その一方で、社会経済開発研究所(クアラルンプール)の理事は、公務員の生産性の向上に重要なのは労働時間ではなく、IT等の新技術を駆使し、官僚的な手法を改めて意思決定の分権化を行うことであると指摘。週休2日制導入が生産性にじかに影響することはないであろうと予測している。

祝日見直しの動き

また、マレーシアのナジブ副首相は、7月1日からの公務員の週休2日制実施にあたり、祝日を見直す方針を明らかにした。その背景には、祝日が多すぎ、国としての競争力が失われるのではないかとの懸念がある。ただし、ナジブ副首相も、週休2日制の導入が生産性の低下につながるわけではないと指摘し、週休2日制に対する消極的な見方を否定した。しかし、国の競争力維持のためには祝日が多すぎるのは望ましくないとの考えである。

マレーシアの祝日は州によって異なるが、最低でも12回程度ある。アジア諸国と比較すると、州で定めた祝日を加えても、マレーシアの祝日は回数的には多いとは言えない。しかし、祝日に加えて公務員の級によって異なるが、25日~35日の有給休暇があり、さらに病欠が非常に多いため、全体として休日が多いとの印象を受けるようである。

ただし、宗教的祝日の扱いには、慎重を期す必要がある。祝日の見直し計画に対してマレーシア労働組合会議のサイド・シャヒル委員長は、マレーシアの祝日の多くが宗教的な背景に基づいたものなので、祝日を減らすことは賢明な措置とはいえないとの見解を表明している。

参考:週休二日制における公務員の勤務と休日の一覧表
勤務日 休日
ジョホール州、マラッカ州、ペナン州、ヌグリスンビラン州、パハン州、ペラ州、ペルリス州、スランゴール州 月曜日-金曜日: 8時-17時 土曜日と日曜日
サラワク州 月曜日-金曜日: 8時-17時 土曜日と日曜日
ラブアン島、サバ州 月曜日-金曜日: 8時-17時 土曜日と日曜日
クアラルンプール、プトゥラジャヤ 月曜日-金曜日
  • 7時半-16時半
  • 8時-17時
  • 8時半-17時半
土曜日と日曜日
ケダー州、クランタン州、トレンガヌ州 日曜日-水曜日: 8時-16時45分
木曜日:8時-16時半
金曜日と土曜日

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