欧州委員会、結束、成長および雇用のための新地域戦略を発表
欧州委員会は7月6日、「成長と雇用を支援する結束政策:2007~2013年の地域戦略ガイドライン」と題する報告書を発表した。ガイドラインは、欧州連合(EU)の2007年以降の地域政策の新たなプログラム枠組みを設定するものである。プログラムは、EU全域における均衡と調和のとれた持続可能な開発を促進し、欧州市民の生活の質を向上させることを目的としている。また、新地域戦略は、改定されたリスボン戦略目標に掲げられた成長と雇用の促進に貢献するよう期待されている。
EUは、域内の経済的・社会的結束を強化するため、裕福な地域と貧しい地域の格差を縮小させるための地域政策(結束政策)を実施している。地域政策の基本は、経済的に恵まれない地域や人々に対するEU予算からの補助金であり、欧州地域開発基金(ERDF)、欧州社会基金(ESF)および結束基金を通じて実施される。
地域戦略ガイドラインは、EUの次期地域政策プログラム(2007~2013年)の設計図となるものである。戦略ガイドラインに沿って、加盟国は国別地域政策プログラムを策定する。ガイドラインは、地域や地方政府、労使団体、その他の利害関係者の地域政策への関与を増大させる必要性を強調する。また、限られた地域政策予算を成長と雇用に最良の結果をもたらす分野に集中させ、各加盟国・地域の経済、社会、文化などの条件に応じた最適な政策ミックスを追及していかなければならないと主張する。
欧州委員会のヒューブナー地域政策担当委員は、「地域戦略ガイドラインは、成長と雇用のためのリスボン戦略目標と地域政策を密接に連携させ、EUの地域政策枠組みと加盟国の実施プログラムを結びつけるものである。この報告書は、地域戦略を強力に推進する欧州委員会の決意を示している」と述べた。
シュピドラ雇用・社会問題・機会均等担当委員は、「ガイドラインは、加盟国がリストラクチャリングを含む経済の変化を管理し、知識経済や革新を奨励し、長期失業や若年失業と闘っていくことを支援するものである。また、市民の職業および地域的移動を促進し、彼らにより良い教育と技術を授けることに貢献する」と語った。
ガイドラインは、次の3分野を優先課題に挙げている。
- ガイドラインⅠ:欧州を投資と仕事のためにより魅力的な場所とすること
社会資本の拡張・整備、成長と雇用のための環境投資の改善、伝統的エネルギー源の集中的利用の促進、再生可能で代替的な技術の支援
- ガイドラインⅡ:成長のための知識と革新
地域交通インフラへの投資の増大と拡大、革新の促進と企業家精神の奨励、すべての人々のための情報化社会の開発、財政へのアクセスの促進
- ガイドラインⅢ:より多くの良質な雇用
より多くの人々を雇用に引き付け仕事に留まってもらうこと、社会保護制度の現代化、労働者と企業の適応能力の向上、労働市場の柔軟性の改善、より良い教育と能力開発を通じた人的資源投資の拡大、行政管理能力の改善、健全な労働力の維持
参考
- 欧州委員会ウェブサイト、欧州労使関係観測所オンライン(EIRO)
2005年8月 EUの記事一覧
- 欧州委員会、結束、成長および雇用のための新地域戦略を発表
- EUリストラクチャリング・フォーラムの開催
- 3000万以上のEU市民が欧州健康保険カードを携行
関連情報
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