ハンガリー政府が最低賃金制度の改定を提案

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  • 国別労働トピック:2005年8月

ハンガリーのジュルチャーニ首相は6月28日に開催された経済社会委員会(GSZT)で、税制と最低賃金制度に関する新たな改正案を提案した。その中で提案された法定最低賃金表を導入すれば現行の最低賃金は引き上げられることになるが、労使はともに慎重な反応をみせている。

経済社会委員会(GSZT)(注1)の第3回会合で提案された税制及び最低賃金制度の改正案は、政府が5月に発表した労働、福祉サービス、公的サービス、経済規制の分野に係る100項目の改革パッケージの一部とされている。税制の見直しに関してはこれまでも国内で議論が続けられていたが、EIRO(European industrial relations observatory on-line)(注2)が伝えるところによれば、今回の政府案では付加価値税、個人所得税、法人税の税率引き下げなどが提案された。

一方、最低賃金制度に関しては、ハンガリー中央統計局が定期的に算定する個人の最低生活水準の推計値と最低賃金の水準とを連動させること、またこれと併せて、現行の一元的な最低賃金の代わりに法定の最低賃金表制度を導入することが提案された。この法定最低賃金表制度は非熟練労働者、熟練労働者、大学卒の労働者向けの3つの賃金レベルから成っている。この賃金表に基づけば、3つのカテゴリの労働者の最低賃金は全て現行から引き上げられることになる。2005年の最低賃金(国の三者委員会で合意されたもの)は月額57000フォリントだが、新賃金表に基づき計算すると、非熟練労働者に関しては月額63000フォリントとなり、熟練労働者、大学卒労働者に関してはそれぞれ月額70000、77000フォリントとなる。

こうした3つのレベルからなる最低賃金制度は、長きにわたり労働組合、とりわけハンガリー労働組合全国連盟(MSZOSZ)の要求するところであった。しかし、これが提案された経済社会委員会において労使が示した反応は慎重なものであった。ハンガリー労働組合全国連盟の代表者は、毎年の最低賃金レベルの決定は国家利害調停委員会(OET)のメンバーによる合意を経るべきものであり、機械的な決定メカニズムが彼らの判断に取って代わることは望ましくないという意見を述べた。一方雇用主側の代表者は、最低賃金レベルを現行水準よりも引き上げることは国の経済競争力を脅かすことになるとの見方を示している。

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