ソフトウェア産業の動向 人材の育成が急務

カテゴリー:人材育成・職業能力開発

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  • 国別労働トピック:2005年7月

政府はソフトウェア産業を国家の最先端産業の一つに指定し、ハイテクパークの設置や税制の優遇など産業育成策を打ち出している。中でも、企業が海外企業にソフトウェア開発のプロセスを製造委託する「オフショア開発」ビジネスは、今後の成長が最も期待されている分野だ。

しかし現在のところ、ソフトウェア産業先進国のインド、中国に大きく水をあけられている。ソフトウェアの開発プロセスの成熟度を示すのが「ソフトウェア能力成熟度モデル(CMM)」。インドでは多数の企業がレベル5を取得しているのに対し、ベトナムにおいてレベル4以上に到達している企業はまだ数社に限られている。

5年間で5万人のIT分野の人材を養成するという産業育成計画(2001/2005)によって、専攻する学生数は増えた。しかし技術革新が激しいこともあり、教育訓練の内容が企業の必要とする水準に達していない。2006年-2010年の計画においては、IT分野の即戦力となる人材20万人(うち10万人がソフトウェア開発者)の育成策が発表されており、ベトナムの強みである、「より安価な労働力」を「高いIT技術」によって底上げしたいと考えている。

日本市場に強い関心

情報サービス企業の業界団体である情報サービス産業協会(JISA)の調査によれば、日本企業は「今後有望と思われるアウトソーシング先」として、中国、インド、韓国に次いでベトナムをあげている。

インドや中国が欧米向けの「オフショア開発」ビジネスに重点を置いているのに対し、ベトナムは受託先として日本に強い関心を持っている唯一の国ともいわれている。業界団体であるベトナムソフトウェア協会(Vinasa)は、2010年までに対日輸出額が3億5000万ドルに達すると推計、今後東京に事務所を開設、ソフトウェア開発と日本語を学ぶIT大学の設立をベトナム政府に要請するなど、日本からの受託に本腰を入れる構えだ。

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