政府、東欧新規加盟国に対する移民受入制度(労働者登録計画)を評価
―新規加盟国から英国への移民数は総計17万6000人

カテゴリー:外国人労働者

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  • 国別労働トピック:2005年7月

2004年5月のEU拡大に際して、東欧諸国からの労働者流入を懸念した既加盟国は、一定期間の流入制限を設けるなどの移行措置を講じた。こうした中、英国は東欧からの労働者に対して(社会保障の適用において一部制限は加えられるものの)労働市場を開放した数少ない国のひとつであった。(注1)現在の枠組みでは、東欧諸国8カ国(Accession 8:A8)出身者が被雇用者として1カ月以上働く場合は、内務省所管の「労働者登録計画(The Worker Registration Scheme)」によって管理される。(注2)この計画の登録数をもとに、内務省が発表した統計(Accession Monitoring Report May 2004 - March 2005)によれば、2004年5月~2005年3月の登録者数は、政府予測の年間1万3000人を大幅に上回る17万6000人であった。政府はA8出身労働者が公共サービスや建設といった部門の労働力不足を補っていると評価。さらに登録労働者が納付した税金および社会保険料は約2億4000万ポンドに達したとして英国経済への貢献も強調した。

社会保障給付は抑制的

労働者登録計画は、社会保障給付の面でA8出身労働者に対し一定の制限を課している。社会保障に関する申請全1191件のうち、第一次審査にパスしたのはわずか24件に過ぎなかった。(注3)また、児童給付申請8148件のうち承認されたのは3570件、公営住宅を与えられたのは43件、ホームレス手当を受けたのは、216件に留まっている。今年5月の総選挙戦の際、外国人労働者については、受入れ制限を主張する保守党への支持が多かったため、東欧からの労働者受入による社会保障負担増大という懸念を払拭できたと政府は安堵した格好だ。

しかし野党保守党は、政府が発表した労働者登録計画に関する統計は、正確な流入数を示したものではないとして批判、登録者を上回る不法就労者が英国に滞在しているとして、労働者受入の制限強化を求めている。

参考

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