高齢化への対応
国家保健保障局(NHSO)は、タイが急速に高齢化社会に向かっている現実と、現行の制度がこの問題に対処できていないことを指摘している。
サングアンNHSO事務局長は、現行の30バーツ医療制度は、特に高齢者を対象としたものではなく、慢性疾患に苦しむ貧困家庭の高齢者の支援には不十分であると述べている。同事務局長は、タイの高齢化問題が顕著化する前に、早めの支援制度導入を検討していることも明らかにした。
現在、タイの60歳以上の高齢者は全人口の約9%(2000年の人口センサス)であるが、2025年にはこの割合が約20%になると予想されている。一方、勤労者の割合も、2000年に66%であるのが、2025年には62%に減少すると見られている。そして、政府の医療に対する支出も増加傾向にある。
チュラロンコン大学人口学研究所のクア教授は、現在の30バーツ医療制度に政府が大量に予算を投下しても、それらが高齢者対策にはならないと指摘する。その理由として、60歳以上の高齢者は、30バーツ医療制度の対象外となっている病院に、より頻繁にそして長期間通う傾向にあることを指摘している。また、農村部の高齢者は、無料で診察が受けられる医療制度を知らない場合が多いことや、高齢者がかかりやすい疾患の治療を行っている病院が都市部に集中しているといった問題も指摘されている。
参考
- BangkokPost,2005年5月6日号
2005年6月 タイの記事一覧
- 高齢化への対応
- 社会保障基金、ノンフォーマル労働者にも拡大
関連情報
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