男女共同参画法と機会均等推進機関の設立要求

カテゴリー:労働法・働くルール

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  • 国別労働トピック:2005年6月

台湾では、1999年3月8日に男女共同参画法が公布された。労工委員会(CLA)が、最近実施した調査によると、男女共同参画法の実施が女性への雇用差別など障壁を引き下げる好ましい効果をもたらしていることが明らかとなった。

調査結果によると、男女共同参画法による効果は、一般的に次の4つの部分に分類される。

  1. 性差による差別の防止

    企業に採用されているほとんどの労働者は、仕事で性差別を経験したことはないと述べている。しかし、経営、販売、プロの技術者、危険な仕事、労働集約的な仕事では男性労働者が優先される傾向があると指摘する。その一方で、管理系の仕事は女性被用者にも門戸が開かれているようである。企業は、給与、昇進、業務評価にあたって、まず専門能力と勤務態度を考慮すると述べている。実際の給与支払い状況をみても性差への配慮、昇進、業務評価について、昨年と比較して性差による偏向が次第に減少している傾向が示されている。しかし、被用者を一時解雇する際には、企業の大半はまだ業務能力と業績を優先事項としているものの、結婚や妊娠が女性被用者を一時解雇する理由と見なしている企業が、まだ1.6%存在している。

  2. セクシャル・ハラスメントの防止

    男女共同参画法および関連法規に基づき、従業員30人以上の企業の49.8%が、なんらかのセクシャル・ハラスメント防止制度、苦情、懲罰方針、情報開示の制度を整備している。しかし、この数字は規定水準にまだ達しているとはいえない。さらに改善を進める努力が必要である。

  3. 職場での男女平等のための措置の推進

    生理休暇、出産支援、無給の子育て休暇を提供している企業は、過去3年間に10.2%、13.3%、17.8%とそれぞれ増加した。家族介護休暇を提供している企業は1.4パーセントある。従業員250人以上で、子育てサービス制度を設けている、または提供している企業は38.1%を占め、前回の調査時点より1.8%上昇している。従業員規模30人以上の企業の56.6%が無給の子育て休暇を提供しており、職場復帰する女性の平均率は75.6%である。

    無給の子育て休暇の平均取得期間は10.6カ月で、休暇期間中はほとんどの企業が他の従業員にその仕事を分配している。代替として新たに従業員を雇用している企業は、わずかに8.4%だけである。さらに、企業の30.4%は男女共同参画法を大いに支援すると述べている。

  4. 職場で女性労働者が直面する不公平さ

    女性労働者の9.5%が給与面で不当な扱いを経験したと述べているが、これは昨年より6.2%増加している。妊娠による不当扱いは1.9%で前年より0.3%増加した。企業側への調査では給与面での性差別が減少していることを示しているものの、女性労働者自身は改善の余地がまだあると考えている。不当な扱いにはこの他に、職種内昇進(8.2%)、勤務評価(6.3%)、作業割当(6%)、従業員手当(4.8%)、求職(4.5%)、研修および教育(3.7%)が含まれる。しかし、前年の数字と比べるとれらはすべて減少している。最後に、女性労働者の72%から95%が、男女共同参画法に明記されている様々な施策に満足していると述べている。CLAの女性労働者政策の総合的実績に対する感想として、女性労働者の15%が「非常に満足している」を選ぶ一方、70%が「満足している」を選び、全体の85%が現状に満足している。

CLAの調査では、男女共同参画法の実施以来の職場の変化に満足を示しているが、4月初め、立法院の女性議員3人は政府がさらに男女平等政策を推進発展させる必要性を強調し、行政院の下に内閣府レベルの特別委員会を設置することを強く求めていくと発表した。議員らは記者会見で、男女共同参画問題を担当する機関を設置する目的で、行政院組織法の修正を提案すると述べた。同法はすでに「行政機構再設計」計画の下で修正されている。同議員らの説明によると、男女共同参画については、現在各行政院院長をリーダーとする婦女権利委員会が各委員会委員が兼務する形で毎月一回開催されているが、常設ではないため、男女平等や女性の権利に関する既存の法律や政府政策が充分に実施されていないという。今回の組織改革では、行政院直轄で独立した専門機関の設立が期待される。

男女共同参画法第38条によると、「性差別禁止」などの関連規定に違反した使用者は、1万新台湾ドル以上、10万新台湾ドルを超えない罰金が課されるだけである。女性議員グループは、参画法違反への罰則をさらに厳密にしていかなければ、今後も男女共同参画法の普及浸透は難しい、まだ改善の余地があると主張している。

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