職業訓練プログラムを拡充

カテゴリー:雇用・失業問題人材育成・職業能力開発

シンガポールの記事一覧

  • 国別労働トピック:2005年6月

1.製造業における訓練への投資を促進

シンガポールはアジア諸国の中でも人材育成に関して熱心な国として知られるが、製造業における能力開発の遅れが政府に危機感を募らせている。人的資源相Dr Ng Eng Hen氏は、シンガポールが競争上の優位性を保持することを希望するなら、職業訓練にもっと資金を投入すべきと、シンガポール製造業部門の経営者に対し警告した。同相は、「これまでシンガポールが繁栄を享受できたのは、熟練労働者の存在によるものであったが、一部の使用者は能力開発へのコミットメントを低下させている」と批判、「製造業企業の経営者は人件費全体のわずか0.8%しか訓練に投資しておらず(2000年の1.4%からさらにダウン)、国内平均の1.2%に比しても著しく低い」と指摘する。今後政府は使用者と協力して効果的な訓練に力を入れると約束していることを付け加えた。シンガポールは、より体系的な訓練制度を整備しなければならないこと、他地域の労働者に比べてより高い賃金を正当化できるようにするため仕事に付加価値をつけること、技能向上に関するモチベーションを上げなければならないことというのが同相の主張である。

シンガポールにおいて順調な経済維持し、雇用を創出する上で、賃金改革も極めて重要な問題。生産の全ての要素で費用競争力が働くことが前提となる。企業にとっても労働者にとっても、柔軟な賃金構造は景気循環の変動を乗り切る一助となる。政府によると製造業分野は全体として、賃金改革に一定の進歩を遂げているとしている。同相は、企業の77.0%がすでに賃金構造で一定の柔軟な要素を実施しているとして、特に電子機器産業を賞賛した。さらに同相は、柔軟な賃金制度を採用しなければならない他の使用者に対し、産業他社から学び、同様に自社の賃金構造をより柔軟にするにはどうすればいいか調査するよう強く求めている。

2.失業者のための技能再訓練制度

2004年11月に新たな職業能力向上システム(Employability Skills System)が実施に移された。初回の参加者200人はほぼ全員が40歳以上で、主に失業者、または在職者であった。職業能力向上コースは、現在21歳以上のすべてのシンガポール人が受講できる制度。コースへの応募者は全員WDAの評価者と30分間の面接を受けることが求められる。評価者は志願者が受講しなければならないモジュールの数と種類を指示する。コースは参加者が自身の知識を更新し、既存の技能を向上させることを可能にするため有益であり、獲得された新しい技能が新しい仕事を見つけるのに役立つという希望をもたらす。参加者は一般的に約1000から1200シンガポール・ドルかかる授業料に、労働力開発局(Workforce Development Agency, WDA)から80.0%の助成を受けることになる。

参考

  • The Business Times,Mar31

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