競争力復活に関する政府の計画

カテゴリー:雇用・失業問題

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  • 国別労働トピック:2005年4月

ドメニコ・シニスカルコ経済大臣により政府閣僚に提示された競争力の復活に関する政府の計画は、10の領域(内部市場の発展および強化等)に関わる措置を提案している。同計画は、EU議会のジョゼ・マヌエル・バローゾ委員長が提案した「リスボン戦略」見直しに関する案に沿ったものである。同計画に関する国庫からの拠出は、「差し引きゼロ(saldo zero)となろう」。シニスカルコ経済大臣は、24日に予定されている政府と労使との会合を前にして、このように述べた。この場合、「差し引きゼロ」とは、政府の措置に何らの費用を要しないという意味ではなく、ある場所から別の場所への財源の移動になるということである。

「政府は俊足ではない」と皮肉を述べるCGIL(イタリア労働総同盟)のグリエルモ・エピファーニ総裁等に関して、シニスカルコ大臣は、ロイターのインタビューに次のように答えた。「イタリアは、25年前から待っているのであって、一朝夕で決着のつくような問題ではない」。たしかに、一朝夕ではないにしろ、問題の措置が取り上げられたのは、約1年前の2004年3月にチェルノッビオで開かれた商業同盟会議において、政府が経済に「ショック」を与えるための法律を定めることを宣言したときである。

措置は、緊急措置に関する法律委任(すなわち法案)により実施される予定である。法律委任の内容は依然未定であるが、明らかになっているのは、いずれにせよ就業に関する措置が盛り込まれるということである。こうした措置としては、第1に、失業手当を現行の賃金の40%から、50%ないし55%に引き上げるというものがある。同時に、失業手当の受給期間についても、50歳未満の労働者に関しては6ヶ月から7ヶ月へ、それ以上の高齢労働者については9ヶ月から12ヶ月に延長することが決定されている。第2に、ビアジ法(労働市場改革法)のメカニズムを「円滑化する」ための措置として、所得保障金庫の受給者を採用する企業の労働コストを緩和するために、失業に対する補助金制度を設けることも予定されている。この制度については、ある種のクーポン券が利用される。この措置は、経営危機状態にある企業の労働者採用を促進するものとなりうるだろう。第3の措置は、労働のためにイタリアの他の地域への移動を承諾した者に対して、助成金を現金で支給するというものである。一種の国内移動支援であり、失業がより深刻な地域(とくに南部)における緊張を緩和するのに役立つであろう。

法案の措置については、2005年から2007年までの3年間で、1年あたり6億ユーロ、3年で計18億ユーロの財政が充てられる予定である。うち7億2000万ユーロは年金基金に関する措置のためのものである(2005年に2000万ユーロ、2006年に2億ユーロ、そして2007年に関しては5億ユーロ)。財政的なカバーは、おそらく企業支援改革でなされる。シニスカルコ大臣は、この改革において助成金の利用は縮小していくと述べている。「助成金では、問題状況は緩和されるが、原因は改善されない」。法案に盛り込まれる他の措置に関して、シニスカルコ大臣は、「税制優遇制度を用いた、小規模企業の統合、企業規模の拡大を促すような措置となろう」と述べるにとどまっている。

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