ILO第292回理事会閉幕
―グローバル化の社会的側面、ミャンマーの強制労働案件、次期予算案などを審議

カテゴリー:労働法・働くルール労使関係

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  • 国別労働トピック:2005年4月

国際労働機関(ILO)は3月3日~24日、スイス・ジュネーブ本部にて第292回理事会を開催し、グローバル化の社会的側面、ミャンマーの強制労働案件、2006-2007年度事業計画・予算案などを中心に審議した。

1)グローバル化の社会的側面

理事会のグローバル化の社会的側面作業部会は2004年に発表のグローバル化の社会的側面世界委員会報告書新しいウィンドウに対するフォローアップ提案を審議し、公正なグローバル化に向けたILOの取り組みとして、ディーセントワークの推進をゴールに掲げる方向を再確認。同作業部会はまた、ILOに対し、1)世界銀行、国際通貨基金(IMF)、世界貿易機関(WTO)などの多国間組織その他のアクターとのパートナーシップ強化し、より整合性ある政策を策定する、2)開発、投資及びディーセントワークのリンケージに関する文書を11月に開催予定の次期理事会に提出する――を求めた。

2)労働基本権問題/ミャンマーの強制労働、ネパールの労働基本権制限

まず、ミャンマー案件について理事会は、2月にヤンゴンを訪問した超ハイレベルチームが提出した報告書を審議し、対話再開を目的とする超ハイレベルチームの訪問の機会を有効に生かせなかったミャンマー当局最高レベルの対応を非難するとともに、超ハイレベルチーム派遣が効果的な解決に結びつかなかった現状に深い憂慮を示した。また、強制労働を行わせた責任者の訴追・処罰などの面で若干の進展はみられるものの、全体的には期待をはるかに下回る結果との評価を示し、ミャンマー政府が表明した強制労働問題の解決に向けた政治的な意思についても、1)今回の超ハイレベルチームへの対応、2)最近のメディアでの当局のコメント――などを理由に、信憑性に欠けるものとの判断を下した。こうした現状認識を踏まえたうえで理事会は、これまでの2001年以降の静観姿勢を継続することはできないと判断。2000年の総会決議(ILO憲章第33条に基づく制裁決議)の枠内における適切な措置を進めるため、政労使代表その他の国際機関に対し、今理事会の決議内容を伝達する方向で全会一致した。ただし、同決議には、今後前向きな展開がみられれば、ミャンマーとの関係見直しに客観的に反映するとの留保が付されており、6月開催の総会の条約適用委員会には、それまでの展開を反映した文書が提出される予定だ。

一方、今理事会の結社の自由委員会は現在付託されている134案件のうち30件を審議。このうち同委員会は、ネパールにおける労組活動家の逮捕拘禁、幅広い業務におけるスト権の禁止などの労働基本権制限について特に注意を喚起し、ネパール政府に対し、1)スト権制限を厳格な定義で「重要業務」にのみ認める方向で重要業務法を改正すること、2)労組活動に対する政府の事前承認制の撤廃――などを要請した。この他結社の自由委員会は、グアテマラ、ベネズエラ、ジンバブエにおける労組活動家に対する権利侵害、労働基本権制限についても注意を呼びかけた。

3)2006年-2007年事業計画・予算案

2006年-2007年について理事会は、現行年度予算の為替レートで5億6860万ドルに相当する予算案(現行予算比1.1%増)を総会に提出することに合意。また、2006-2007年事業計画案では、グローバルゴールとしてのディーセントワークに焦点をあて、その実現に関連する現地レベル、国家レベル、地域レベル、国際レベルそれぞれの活動を盛り込んでいる。

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