「就労能力に応じた仕事と所得」法、2006年に導入

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  • 国別労働トピック:2005年4月

オランダ政府は、2006年1月1日、現行の障害保険法を「就業能力に応じた仕事と所得(WIA)」法に改正する予定である。

政府は、現在の障害保険法が不必要に多数の人々に対して障害手当を支給しているとして、できるだけ早期に保険制度改正を実施する必要性を強調している。新規の障害発生件数は最近減少しているが、高齢化への対策が講じられなければ件数は再び上昇すると見られる。新法は、職場への復帰に重点を置いている。法律は、部分的障害者に可能な限り働いてもらうために、使用者と労働者が可能なあらゆる手段を講じるよう財政的優遇措置を用意している。同時に働くことが不可能となった障害者に対する所得保障についても規定している。WIA法は、1)障害により完全に就業が不可能な人々に対する所得保障に関する制度(IVA)、2)部分的な障害を持つ人々の再雇用に関する制度(WGA)――の二つによって構成されている。

使用者は、2年間の障害休暇期間中、当該労働者の賃金の少なくとも70%を支払わなければならない。さらに使用者と労働者双方とも、職場復帰のために努力する責任がある。ソーシャル・パートナーは、当初2年間の障害手当の上限を最終賃金の170%とするよう合意した。

2年間の障害休暇の最後に、社会保険事務所は、障害休暇中、使用者と労働者双方が、職場復帰のために最善を尽くしたかどうかを判断する。もし最善の努力をしたと判断されると、労働者は健康診断を受ける。部分的な障害者(仕事への適応率65%以下)と判定された労働者は、WGA制度に基づく手当の受給資格を得る。この制度は、労働者が仕事をすればするだけ収入が増加するようになっているため、労働者の職場復帰を促進することが期待される。

部分的な障害者に仕事を続けさせることに成功した使用者は、当該労働者が5年以内に再び障害を患ったとしても、障害手当の支給を免除される。その場合、社会保険事務所が障害手当の支払い義務を引き受ける。加えて使用者は、部分的な障害を持つ労働者を雇い入れたり継続して雇用する場合に、社会保険料の減免を受けることができる。企業のWGA制度の受給者数が減少するにつれて保険料が安くなるという保険料設定の柔軟性もまた、インセンティブとして働く。

WGA制度において就業している者に対する手当額は、最終賃金と新しい仕事の賃金(最終賃金より低い場合)との差額の70%。完全な失業者の場合、手当額は最終賃金の70%となる。手当を計算する際には、最高の日額賃金が適用される。WGA制度の手当支給期間は、労働者の職歴によって決まる。この期間終了後も、フォローアップ手当や補足手当を受給できる可能性がある。全く就業していないか又は障害によって収入能力の半分以下しか稼いでいない部分的障害者は、障害の程度によって増加する最低賃金の70%のフォローアップ手当を受給することができる。これは、障害によって労働者が蒙った給与の減少額に対応して決定される。就業して、収入能力の少なくとも半分以上を稼いでいる労働者は、最終賃金と収入能力の差額の70%の補足手当を受給することができる。原則的に、部分的な障害を持つ労働者は、65歳の退職年齢まで、フォローアップ手当もしくは補足手当を受給することができる。

収入能力が20%以下であり、回復の見込みが全くないかごくわずかな労働者は完全な障害者又は長期の障害者とみなされる。これらの人々に対しては、IVA制度により最終賃金の70%が支給される。IVA制度に登録されている人々は、回復の可能性を確認するため、障害休暇期間の最初の5年間は毎年医療検査を受けなければならない。その期間中に当該労働者が部分的な障害者であると診断された場合には、IVA制度の受給資格を失い、WGA制度に申請しなければならない。

最近の就業能力査定区分の厳格化と併せて実施される新しいWIA法の導入は、使用者、労働者双方の支出を合計で年間約20億ユーロ削減すると予想されている。

出所

  • オランダ社会問題雇用省ホームページ

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