30バーツ医療制度、疾患予防策強化へ転換

カテゴリー:勤労者生活・意識

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  • 国別労働トピック:2005年3月

2002年にスタートした30バーツ医療制度(初診料が30バーツで、幅広い治療を受けることが出来る低所得者層向けの医療制度)は、制度の開始から2年を迎え、すでに国民に広く利用されている。制度自体が浸透した現在、政府は疾患後のケアから予防対策に制度の比重を移していく方針だ。

疾患予防策を強化

保健省及び国家保健保障委員会(TheNationalHealthSecurityOffice)は、2005年2月16日、従来の30バーツ医療制度のスローガンである「30バーツで全ての病気を治療する」から、「30バーツで病気を予防する」というスローガンに方針を切り替えていくことを明らかにした。

同制度は開始当初から、都市部の公立病院の医師の不足や財政負担などの問題が懸念されていた。制度の開始から2年が経ち、制度自体がすでに国民に広く定着したことをきっかけに、予算の節約及び疾患防止の意図も含め、予防策に力の比重を移していく方針だ。例えば、糖尿病や高血圧、肝臓の疾患などは、食事療法や日頃の心がけで予防することが可能な病気。特に肝臓疾患などは、治療にコストがかかる病気で、30バーツ医療制度ではカバーできないため、同医療制度でカバーできる予防策を国民に提供していきたいとの考えだ。

この医療制度の予算は、酒税およびタバコ税からの税収で賄われているが、一人当たりの国家予算は、2002年開始当時の1202バーツから2004年の1396バーツ、10月からの新年度では1510バーツに引き上げられることが予想されている。現在の予算がGDPの3.47%であるところを、向こう5年間で3.58%にまで引き上げていく予定だ。一方スダラット保健相は、この制度によって公的病院の多くが資金繰りに困窮していることを明らかにしている。今後同制度が予防策に更に力を入れることにより、財政問題を少しでも緩和できるのではないかと期待を寄せている。

参考

  • Bangkok Post, 2005年2月17日付

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