新定年退職制度への理解と評価に関する調査

カテゴリー:高齢者雇用

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  • 国別労働トピック:2005年3月

台湾労工委員会(CLA)は、労働年金法(新制度)の普及促進を図る上での参考として、労働者の新定年退職制度に対する理解と評価、新制度と旧制度の選好に関する調査を実施した。同調査は10月14日から20日まで、現役労働者を対象に電話を利用して実施されたが、その際の有効サンプル数は2,038、誤差は±2.2%、信頼性は95%となっている。

調査結果に基づく統計値は次の通りである。

  1. 新制度に賛成の労働者は全体の68.5%で、反対の労働者の8.5%を60%上回っていることから、労働者の多くが新制度を歓迎しているものと思われる。
  2. 新制度が望ましいという労働者は全体の48.6%、旧制度が望ましいという労働者は23.6%、わからないという労働者は27.8%となっている。
  3. 新制度によって年功制は存続するが、労働者の72.9%が転職するつもりはないとしており、新制度移行後も職を変えない理由は年功制にあるのではない。裏を返せば、労働者が転職するもしくは会社が閉鎖されても、年功制は存続するということになる。転職するつもりはないという労働者は全体の72.9%であるが、転職するつもりであるという労働者は17%に過ぎず、10.1%はわからないとしている。
  4. 新制度移行に伴う退職基金積立額と課税軽減について知っているという労働者は全体の24.4%、知らないという労働者は75.6%となっている。知っている労働者が24.4%にとどまり、知らない労働者が75.6%に達しているという状況からして、政府はその点に関する広報活動を強化する必要がある。
  5. 従業員数200名以上の会社に勤務する労働者で、民間年金保険に加入するつもりであるという労働者が43.3%、加入するつもりはないという労働者が26.9%、わからないという労働者が29.6%となっている。
  6. 労働者は、新制度のメリットは、年功制を維持しつつ、年金を受給できる点にあると考えている。
  7. 労働者は、新制度移行後に給料が下がるのではないかとの不安を抱いている。新制度移行後に最も不安を感じることは何か、という質問に対する回答(複数回答可)を見ると、「給料が下がる」を選択した労働者は全体の37.3%(第1位)、「決定はすべて雇用者に委ねられる」を選択した労働者は29.8%(第2位)となっている。
  8. 新制度に関する情報入手媒体。テレビで新制度の内容を知ったという労働者は全体の48.0%(第1位)、新聞で知ったという労働者は37.5%(第2位)、知らないという労働者は11.7%となっている。
  9. 労働者が最も望ましいとする情報入手媒体はテレビである。新制度の情報入手媒体として、労働者の45.4%がテレビ(第1位)、11.7%が宅配チラシ(第2位)、11.2%が新聞(第3位)を選択している。

全般的に見て、労働者の多くが新制度を歓迎しているものと思われる。年金が支給されること、年功制が維持されること、雇用者に必要な退職基金積立額が従業員の給料の最低6%であることなど、新制度の内容についてもかなり理解は浸透している。新制度が望ましいという労働者は全体の48.6%、旧制度が望ましいという労働者は23.6%、わからないという労働者は27.8%であり、特に台湾の東部と中央部の労働者については、新制度に関する広報活動を強化する必要があるものと思われる。ちなみに、広報活動に利用する媒体は、労働者のほぼ半数がテレビが望ましいとしている。

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