新しい労働認証制度

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  • 国別労働トピック:2005年3月

2004年通達48号により、労働社会政策省は初めて、州労働局に示される手続指針や雛型とともに、同制度の実施に際しての指示を明らかにした。この制度を利用して、企業および労働者は、労働関係の成立について互いの意思を合致させ、法律上の効果に関する紛争を回避することができると期待されている。

2003年委任立法276号(労働市場改革法)は、第8章(75条-84条)において認証制度を規定している。この認証制度には、1)労働契約の認証と、2)放棄および和解の認証の2つがある。

まず、1)の認証は、すべての労働契約について可能である。もともと、2003年委任立法276号は、匿名組合(associazione in partecipazione)における間歇労働、ジョブシェアリング、パートタイム労働およびプロジェクト労働に適用範囲を限定していたが、2003年委任立法276号の修正法は、これをすべての労働契約(請負契約を含む)に拡大した。さらに、基本的な仕組みも、その後の2004年6月14日省令および2004年7月21日省令で決定された。

労働契約に関する認証は、成立した労働契約の法的位置付けについて、いわばお墨付きを与えることを目的とした任意の手続であり、労働関係の当事者(使用者または注文主と労働者)双方の求めに応じて行われる。

労働契約の認証は、所定の組織(一定の労使相互機関、州労働局および州。協働労働関係や労働法の教師が行う諮問に限り、所定の名簿に登録した国立・私立大学も)の下に設立された委員会が実施する。同委員会は、契約当事者に対して、労働契約の締結等に関する諮問や支援も行う。

認証手続は、上記のように契約当事者双方の請求によって開始されるが、この請求は、所定の用紙に当事者双方が自署して、共同で行わなければならない。このとき、当該認証によって求める効果(民事、行政、社会保障または租税)を明示することが必要であり、これがなければ、手続は続行不可能と判断される。手続上重要な段階としては、委員会が諮問や支援の役割を実施する、当事者の聴取もある。請求の提出から30日以内に(委員会がさらなる書類の提出が必要と判断するときはこの限りでない)、委員会メンバーが多数決で決議し、認証証書を公布する。ここには、修正の指示、期限、上訴機関、ならびに、当事者および第三者に対する効果のほかに、当事者の請求した民事、行政、社会保障または財政上の効果が示される。この認証によって、使用者は、INPS(全国社会保障機関)やINAIL(全国労災保険機関)等にも対抗できる。なお、当該認証によって認められた労働契約の法的位置付けや規制に反する事実があった場合には、認証証書を取消すために、修正が施されることもある。

認証に異議のある場合は、2つの上訴方法が用意されている。第1は、当事者および認証証書の効果が及ぶことの予定されている第三者が、裁判所に労働契約の法的位置付けが間違っていること等を理由として行う上訴であり(委員会との和解の試みを果たしたことが要件)、第2は、手続違反や越権行為を理由として委員会のある州の州行政裁判所に対して行う上訴である。

次に、、2)の放棄および和解の認証であるが、これを実施できるのは、地方または全国レベルで設立された労使相互組織のみとされている。労働契約の認証と異なり、適用範囲の定めがなく、民法典2113条にいう放棄および和解に含まれるすべての労働関係について適用されうる。この手続は、「当事者自身の放棄ないし和解の意思を確認」するためのものである。

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