ACTU、労使関係委員会に「仕事と家庭の両立に関する試案」を提出
オーストラリア労働組合評議会(ACTU)は、2004年12月「仕事と家庭の両立に関する試案」のまとめ案をオーストラリア労使関係委員会(AIRC)に提出。労働者が仕事と家庭の両立をコントロールできるよう、福利厚生制度に盛り込むよう提起した。
「仕事と家庭の両立に関する試案(Work and Family Test Case)」は、ACTUがAIRCに継続的にはたらきかけている案件。試案の主な内容は、1. 現行の12カ月間の無給育児休業期間を24カ月に延長する、2. 雇用主側が、子供の出生後2年間は従業員としての職務を維持し、本人が希望すれば職場復帰後パートタイム職に転換する権利を付与する、3. 従業員が給料の一部を返上してさらに最高6週間の年次休暇を「購入」できる(Salary Sacrifice)、4. 家庭責任を果たすために仕事の開始・終了時間を変更し、職場の変更を求めることも可能となる、など。
1978年、オーストラリアの全労働力に占める女性の割合は約26%だったが、現在は約45%に増大しているほか共働きカップルの割合も1981年の49%から2000年には62%に拡大している。ACTUは「柔軟性の乏しい労働環境のため女性が2人目、3人目の子供を持とうとしない」ことを出生率低下の要因を指摘。 職場を「ファミリー・フレンドリー」な環境にすることは女性の労働市場の参加を促し、熟練労働者不足問題を緩和にもつながると強調した(注1)。対してオーストラリア商工会議所(ACCI)をはじめとする経営者団体は、ファミリー・フレンドリーな政策は望ましいが、多くの企業にとって手厚い福利厚生制度を設けることは不可能で、制度の施行を企業に強制すべきでないと主張している。
注
- 2002年の出生率は女性1人当たり1.75人。子どもを持たない25~29歳の層女性の割合が急激に増加していることから、仕事と育児を両立支援策が推進されなければ、出生率は今後も低下し続けるとされている。
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