EUレベルのホテル・レストラン産業の労使がCSRに関する共同文書に調印

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  • 国別労働トピック:2005年2月

2004年12月10日、欧州食品・農業・旅行・労働組合連合(EFFAT)とEU並びに欧州経済地域(EEA)のホテル・レストラン・喫茶店及び関連業種の全国使用者連盟(HOTREC)は、「接客業界における企業の社会的責任(CSR)の推進にむけた取り組み」と題する共同文書に署名した。

署名当事者は、接客業界の企業は、人々や環境に対する悪影響を最小化する一方で、社会への積極的な貢献を強化する方法で、職場環境を管理することによって持続可能な発展に貢献していかなければならないとしている。当該労使はまた、CSRを考えるとき、EU全体の接客産業企業の95%が、従業員数10人以下の事業所となっている点を考慮しなければならないと指摘している。労使は、加盟組織に共同文書の推進を奨励しつつも、文書に示された行動は、その多くが法定の要件をはるかに超えており、自主的なものであることを強調した。

共同文書は、以下の内容を含んでいる。

  1. 均等待遇及び差別禁止:企業は、採用、賃金、昇進、訓練、解雇に関する規則を制定するべきである。

  2. 労働条件及び労働組織:ワークシェアリング、労働時間の柔軟化、仕事と家庭の両立などに関する慣行は、奨励されるべきである。さらに企業は、安定性、継続性を保証するため、季節労働者を次期も再雇用する道を模索するべきである。

  3. 公平な賃金:すべての賃金支払いに関する非差別原則の適用、及び託児施設の整備のようなファミリーフレンドリーな非財政的措置も考慮すべきである。

  4. 職業訓練及び生涯学習:訓練は、労働者の専門性やエンプロイヤビリティを向上させるものでなくてはならない。企業は、より多くの実習生や研修生を受け入れるべきであり、それは経済的にも社会的にも可能なことである。

  5. 健康と安全:地域政策は企業によって企画されるべきであり、労働者との討議、産業に特有の健康と安全の問題に対処することを目的とした特別プログラムの開発を行うべきである。

  6. 合理化:労働者及びその代表は、経営状況について日常的に気を配り、業績が良いときの合理化の実施についても、雇用に関する否定的影響を回避又は最小限にとどめるため、情報提供・協議を受ける必要がある。

  7. ホテル・レストラン産業の労使関係:署名した労使団体は、1987年以来、EUレベルの産業別労使対話を実施してきており、その成果が共同文書に結実した。労使双方、今後とも、対話を継続、発展させていきたいとしている。

共同文書は、履行、監視、改定手続きについても規定している。文書は、広く普及させ、CSRの領域における最良の事例を収集することにより、フォローアップを行っていくべきであると規定している。

EFFATとHOTRECは、加盟組織と協力して、協約に規定された事項の進捗状況の検討を定期的に行うことを約束している。そして必要があれば共同文書の改定を行うこととしている。

EFFATの書記長は、共同文書を歓迎し、「共同文書に関して最も重要なことは、使用者が労働組合との共同作業においてイニシアティブを発揮し、この問題に関し日常的に我々と協力していくことを約束したことである。」と述べた。

参考

  • 欧州労使関係観測所オンライン

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