ブルガリア:EU加盟に向けて国家計画策定が進む

カテゴリー:雇用・失業問題若年者雇用人材育成・職業能力開発

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  • 国別労働トピック:2005年2月

2007年のEU加盟を目標としているブルガリア。EU加盟に当たってはアキ・コミュノテール交渉を通じて、政治、経済、財政制度をEUのそれらと調和させることが求められる。ブルガリアは他の加盟候補国に先がけてアキ・コミュノテール交渉を終了し、欧州理事会からは昨年12月、2007年1月のブルガリアのEU加盟を歓迎するとの見方が示されている。

今後はEUと同等の経済・社会制度の実現に向けて進むことになる。EUからは労働面の構造改革が必要な課題として、労働市場の柔軟性の向上と教育システムの質・効率の改善が指摘されている。

以下ではEU加盟に向けて歩むブルガリアの動向をみる。

雇用情勢は改善の兆し

ブルガリアの順調な経済成長はEUによっても評価されている。2003年のGDPの実質成長率は4.3%、2004年上期には対前年比5.3%の伸びを示した。経済の成長とともに雇用情勢も改善傾向にある。2003年の失業率は13.6%であったが、これは前年から4%改善し、過去5年間での最低水準を記録した。なお昨年10月時点では11.81%となっている。

また1998年以降初めて、労働事務所に民間部門からの求人(4000職)が登録された。いずれも政府の補助を受けていない民間企業からのものである(注1)。

失業者のなかで若者が占める比率が低下したことも、明るい兆しといえる。2003年第4四半期には失業者の46.7%が若者であったが、2004年末時点ではその比率は4分の1にまで低下するとみられている(注1)。

若者の雇用促進、人材育成に取り組む

EU加盟に先立ち、ブルガリアはEUからPHAREプログラム(注2)をはじめとする財政支援を受けている。政府は昨年11月末、資金援助が13.3百万ユーロに及ぶことを明らかにした。その主な使途は1)若者の雇用促進、2)生涯学習である。2006年の後半から13500人の若者に対して、職業訓練又は再訓練/専門能力を修得させるための見習い雇用/各種プロジェクトへの応募方法の指導などが行われる。さらに学校10か所が5334百万ユーロの援助を受け、設備改装や技術指導の強化を行うこととしている(注1)。

昨年11月からは国家発展計画(the Plan for the National Development:2007年~2013年まで)の策定作業が開始されている。そこではEU加盟に向け、国として優先的に取り組むべき事項が議論されている。現時点ではワーキンググループにより、以下のような内容が示されている(注1)。

目標:EUに統合される過程での保持可能な社会・経済の発展及びそれに基づく質の高い生活。

優先事項

  1. 基礎的インフラの改善
  2. 人的資源の育成と社会的インフラの改善
  3. 保持可能かつ一貫した地域開発
  4. ブルガリア経済の競争力の強化
  5. 地方部・農業の開発

今後これらは国民のさらなる議論を経た上で、決定されることになる。

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