地方自治体職員労組が使用者側と部分的な労使協約について合意

カテゴリー:労使関係労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2005年2月

2004年12月末、コムーネ(市)及びアムト(県)に勤務する各種専門職員労組を代表し、労使交渉を代行する組織「KTO」(注1)と使用者側組織である「全国コムーネ連合」が、向こう3年間(2005年~2007年)のベースアップの形態や産休時の年金積み立て制度の改善などを含む、部分的な協約について合意に達した。主な内容は以下のとおり。

1.賃上げ

2005年4月1日以降、全ての職員を対象に従来適用されていた給与体系に基づく基準を1等級格上げする形で基本給の賃上げを実施。例えば小・中学校の教師の場合、年間4455クローネの所得増となり、1987年以降では最高の賃上げとなる。

2.産休中の年金積立

デンマークでは2003年以降、産前産後の休暇は合わせて52週間保障されるようになったが、雇用者に課せられた被雇用者に対する年金積立義務は、産前の4週間を含め、計32週間であった。しかし、今次の協約により、2005年10月1日以降、雇用者には産休の全期間(52週間)を通じて、年金積立金の支払い義務が課せられることになる。

3.ニュー・ウェージ制度

今次の労使交渉では、1997年にデンマークの労働市場に導入されたニュー・ウェージ制度(ローカル・ウェージとも呼ばれる)についても新たな取り決めが締結された。

ニュー・ウェージは、次に上げる4点を軸とした制度である。

  1. 労使協約が掲げる賃金基準のうち、特定の割合については労働者が働く職場において当該職場の使用者との交渉により実質的な賃金を決定。
  2. 勤務年数16年目で各種専門職種の給与はいずれも最終的な等級(号給)に到達し、これ以降の基本給の昇給がないため、一部の労働者については労働意欲が希薄になるとの批判を背景に、従来の制度を改善することで、労働意欲を高めることを目指す。
  3. 給与は、労使協約に基づく基本給、教育水準、役職等を基準に決定。
  4. 基本給以外の賃金については、職能、経験、研修参加、実績などをベースに「個人的な給与加算」という形で決定。

4.2005年以降のニュー・ウェージ制度

今次の労使交渉では、使用者である地方自治体連合とHK(注2)、SiD、ソーシャルワーカー労組、全国技術者労組を筆頭に、各種地方公務員が属する25の労組(組合員:約12万人)は、「ニュー・ウェージ制度」について合意に達した。

当該合意の具体的な内容は、向こう2年間に実施される賃上げの2.5%をニュー・ウェージ枠としてプールし、個々の職場における個人加算給与として使用するというものであるが、HKの組合員の場合、個人加算分として月額約700クローネの賃上げが見込まれている。

ちなみに、2002年の労使協約では2004年までのニュー・ウェージの枠は1.87%とされたが、当該3年間のニュー・ウェージ制度に基づく実質的な賃上げ率は10%であった。

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