外国人介護士への制限を撤廃へ

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  • 国別労働トピック:2005年12月

外国人介護士による24時間介護申請手続きの刷新

行政院の管轄下にある労働委員会(CLA)は、10月、外国人介護師による介護申請資格の判断基準として、個人の障害の程度を用いることは今後しないという制限緩和の方針を発表した。李應元CLA新委員長は、同委員会は外国人介護師による介護申請資格が患者にあるかどうかを判定するために用いられる、いわゆる「バーテル指数」を用いないことにすると述べている。今後は、医療当局からの証明書が介護申請の中心的な判断基準となる。

これまでは外国人介護士による介護を申請する者は、患者の「バーテル指数」と大型総合病院が検査して認証した記録を提示しなければならず、外国人介護師を雇う資格を得るには、「バーテル指数」の値が30未満でなければならなかった。

問題はある家庭医が述べたように、バーテル指数の得点が30を下回るにはかなり能力が低くなければならず、指数の基準がたいへん厳しいため、24時間介護を必要とすると見なされるには「能力があり」すぎる患者が多いことである。このことが、バーテル指数の得点を偽ったり、偽っているのではと疑われたりする事例が多い主な理由の一つとなっている。

新計画では、いわゆる「バーテル指数」による量的指向の検査システムを廃止し、証明書の発行による質的指向の検査システムを採用している。この証明書には、患者の自立能力を徹底的に検査した上で、患者が本当に介護士を必要としている内容が述べられていなければならない。この証明書をもって、患者家族は社会福祉機関に介護申請を行うことが可能となる。患者が24時間介護を必要としているかどうかを地元の病院自体が決定した上で評価報告書を発行して、地元で介護作業を行う台湾人を見つけることができなければ外国人介護師士を雇うことができるのである。

この評価報告書に基づき、市や郡にある台湾人介護士提供業者のセンターが、24時間介護、デイケア、または日中の一定時間の介護のどれが必要とされているかに応じて地元の介護士を患者に紹介する。この介護士提供業者は、地元の介護士を雇用する際に政府から出る補助金を患者が申請することも手助けする。

24時間介護を必要とする患者だけが外国人介護士の雇用を申請することができるが、その場合には、政府の補助金を申請する権利は得られない。患者が外国人介護士の雇用申請を希望する場合、台湾人介護士提供業者のセンターに3万台湾ドル(893米ドル)から3万5,000台湾ドル(1,042米ドル)までの月給で24時間介護を行う介護士の雇用申請を同時にしなければならない、とCLAは述べている。

行政院のもとにある衛生局は、上に述べた患者の適格性評価を担当する医療部の課を決定した。

充実した家庭介護の普及に向けた政府の対応

CLAは、制限が緩和されることで、台湾の家庭が必要な家庭内のヘルパーを雇えるようにするために、患者ファイルを偽造し医師に説得する必要がなくなることを期待している。

その一方で、一部の市民団体は、常時介護を必要とする家族のいる者が介護士の仕事に携わること、また政府もそうした介護を行っている人たちが余裕をもって従事できるよう支援し、そのための投資を行うべきことを訴えている。さらに、いくつかの社会活動グループは、CLAが家庭介護士として外国人労働者を雇用する基準値を引き下げる措置をCLAが検討していることは、台湾自体の介護制度の発展を阻害するという懸念を表明している。

このことが契機となってCLAは、国内の看護師と外国人介護士にかかる費用の差額を補填するための補助金の措置を検討している。この方針は、長期にわたって介護士を必要としている家庭が台湾人を雇用することを奨励するための新たな方法だと考えられている。

政府は12カ月間連続して台湾人介護士を雇う各家庭に報償として、1カ月5,000台湾ドル(149米ドル)を提供することができる、と職業訓練局(BEVT)は発表した。台湾では、言葉の壁によるコミュニケーションに困難の多い外国人介護士にほとんどの人が頼るのは、外国人介護士の料金が国内の介護士のほぼ半分だからであり、この報償制度が実現すればこういった状況を改善するのに役立つことは明白である。

その一方でCLAは、介護士になることに関心をもっている国民に広く職業訓練プログラムの受講機会を提供することを発表した。介護士募集の広告を出してから2週間経っても台湾人の応募がない場合には、委員会は空いているその職を外国人労働者に提供することにしている。行政院の主計局長によれば、台湾では2000年末には、長期的に介護士を必要とする人が33万人を上回っていた。その一方で2005年8月にBEVTが出した月次統計報告に基づくと、外国人介護士は13万777人いたが、そのほとんどがベトナムとフィリピンの出身者で、台湾で働くために雇用されている外国人労働者全体の42.19%を占めていた。

参考レート

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