2006年の雇用関係予算

スウェーデン政府は9月20日、2006年予算案を議会に提案した。政府の経済見通しは、GDP成長率を2005年2.4%、2006年3.1%と予測している。2005年と2006年は、国内需要の増加により、民間部門の労働力需要が増加する。就業者数は、2005年0.1%、2006年1.3%増加し、2006年の顕在失業率は4.8%に低下すると見込んでいる。

政府は、2006年1月1日から2年間の雇用パッケージを提案した。これは2006年と2007年にそれぞれ100億スウェーデン・クローネ(SEK)を投じて、民間部門と公務部門において、5万5200人の雇用や訓練ポストを創出するものである。雇用パッケージは、(1)失業者とりわけ若年者のための公務部門における3万6000人の臨時雇用・訓練者ポスト(2)主に医療分野における様々な教育訓練のための1万1500人の「能力開発」ポスト(3)大学卒業資格を有する失業者のための7700人の臨時雇用ポスト――の3種類からなる。

公共部門の質を向上させるために2万人の「ボーナス・ジョブ」が創出される。これらのポストは、現在は実施されていない公務部門の質を向上させるための仕事に活用される。ボーナス・ジョブの対象者は、2年以上の失業者である。ボーナス・ジョブに就いた者には、団体交渉で合意された水準の給与が支払われる。使用者に対しては、1日1000SEKを上限に、賃金費用の100%を補助する。

医療サービスや高齢者介護の分野には、適切な教育訓練を欠いている人々が数多くいる。こうした人々には、さらなる教育訓練機会が提供される。雇用パッケージは、教育休暇を取得する人々の代替要員として年間1万人のポストを用意している。

公共職業安定所と派遣会社の共同プロジェクトは、大卒の失業者を対象として、小規模企業を中心に4000の訓練ポストを提供する。

中央政府機関の世代交代の影響を緩和し、知識・技能の伝承を保証するため、政府機関が1000人を上限に採用を促進するよう、2006~2007年で3億6000万ユーロの予算を措置する。この2年間に裁判所の法律事務官100人を新規採用する。また、地方政府行政委員会の監督機関に追加で100人を採用し、210人の訓練者を受け入れる。

スウェーデンの国税庁は、脱税に対する強行措置を講ずるため、2006~2007年で420人を採用できる。同じ期間に、社会保障給付の支給手続きを厳格にチェックするため、社会保険庁は300人、労働市場庁は500人を雇用することができる。

政府は若年者の失業に対しても様々な施策を講じる。中等教育を受けていない20~24歳の失業者を対象に3000の見習いポストを設ける。6カ月以上失業している20~24歳の若年者に対する雇用補助金を2006年も引き続き活用する。

しかし、新設される5万5000ポストのうち、正規雇用のポストはわずか3000人分であり、労働組合のエコノミストは、これらの臨時的雇用が正規雇用の職を消滅させる危険性があると批判している。

野党4党および民間部門の使用者は、今必要なのは臨時的手段などではなく、100万人を労働市場に呼び戻すための恒常的な構造改革であるとして、政府の予算案に憤慨している。公式の失業率8.4%のほかに、22万7405人が病気休暇を取得し、55万2576人が早期退職している現状において、使用者が、より多くの人々を雇用するためには、低い法人税、少ない規制、柔軟な労働法制が必要あるとして、政府の政策を強く批判している。

出所

  • スウェーデン政府ホームページ
  • 当機構委託調査員のレポート

参考レート

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