イタリアの闇経済、2170億ユーロ

カテゴリー:非正規雇用統計

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  • 国別労働トピック:2005年11月

闇経済が拡大している。22日に公表されたISTAT(国立統計局)の最新のデータによると、2003年における闇経済の付加価値は、国内総生産比で、最低14.8%から最大16.7%の間を変動している(1992年には12.9%から15.8%)。これは、金額にして1930億ユーロから2170億ユーロである。この16.7%という数値の内容は一律でない。データを分析すると、このうち7.2%は給与支払簿に登録された正規雇用に関する総売上高の過少申告、7.6%は非正規労働の利用によるもの、1.9%は財・サービスの供給に関する評価と供給に関する評価との差を埋めようとしたものである。一方、闇労働が拡大している部門に限定はない。最大値の16.7%の場合で考えると、闇労働に関する付加価値は、農業部門全体の付加価値の36.4%、工業部門全体の10%、サービス部門全体の19.4%である。

しかし、従来と異なり、闇労働は増加していない。2003年には、非正規労働率(全就労数に対する正規でない労働の割合)が13.4%であるので、ここ数年に比べて著しく低下し、1992年と同水準にまで低下している。ISTATはこの現象を、移民に関する正規化法の影響と説明している。ただし、被用者間における闇労働が、1992年の15.9%から2003年の15.5%へと減少したのに対し(2001年は18%)、非正規自営業者数は7.7%から8.1%へと増加しており、ここ数年の水準とほぼ同じである。

非正規労働が多い部門は、農業と建築である。農業に関して、ISTATは、当該活動の断片性および季節労働性のために、居住者でなく正規でない外国人労働者の利用が可能だったとみている。農業部門における非正規労働率は、1992年に25.5%であったのに対し、2003年には32.9%であった。農業部門を除外して非正規労働率を算定すると、非正規労働率は12.3%となり1%以上低下する。次に非正規労働率の高い建築部門の数値は12.5%であるが、従前よりは低下している(1992年14.2%、1997年16.2%)。狭義の工業部門における非正規労働者の利用率はそれほど高くない。実際、2003年は5.4%であり、1992年のデータ(5.7%)とあまり変わらない。

これに対し、サービス業では、非正規労働者の割合が高い(14.5%)。なかでも商業・レストラン・ホテル・交通機関が15.2%と顕著である(1992年には15.6%)。しかし、その上を行くのが輸送業の33.9%であり、農業部門をも上回っている。

闇経済に関するデータはCensis(社会投資研究センター)の調査でも明らかになっている。ただし、ISTATと異なり、同機関は2002年から2005年の間に闇企業は減少し、非正規労働は増加したとしている。また、イタリアの全生産組織に対する闇企業の割合は、2002年の22.3%から2005年の9.7%に低下したとされる。一方、闇企業のもとでの非正規雇用は、2002年の12.9%から2005年の14.2%へと増加した。地域別にみると、北東部および南部では非正規雇用が増加したのに対し、北西部および中部では減少したとされている。Censisのデータで目を引くのは、闇企業および非正規労働に移民が巻き込まれやすいことを明らかにしたことである。

参考

  • Il Sole 24 Ore2005年9月23日

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