労働安全衛生に関する統一法

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  • 国別労働トピック:2005年1月

11月18日、閣議はロベルト・マローニ労働社会政策大臣の意見を容れて、労働安全衛生に関する法律委任案を承認した。これは「案」と呼ばれているものの、マローニ労働社会政策省大臣はすでに、労使との協議を先延ばしにして、統一法の中に187条を書き込み16の付属文書をつけている。

2003年7月29日法律委任229号〔規制の質、法律編成および法典化に関する措置〕を実施する今回の措置により、国際的なレベル、とくにEUレベルで、労働安全衛生に関するあらゆる問題の簡素化、調和および調整が進められることになる。政府発表によれば、その主たる目的は、単に形式的な義務の履行にとどまらない文字通りの予防戦略をも利用した、労働の質および安全の向上とされている。統一法は、従属労働者、独立労働者および家内工業従事者だけでなく、労働市場改革法(いわゆるビアジ法)で規制されるあらゆる労働類型にも適用される予定である。したがって、労働安全衛生規制の適用は、労働関係の法的評価を問わず、労働の場に具体的に組み込まれた労働者のすべてを対象にするというものであるので、従来よりも広範な労働者に関わることになろう。

労働安全衛生に関する統一法は、中道左派政権の時代には実現されなかったものの1つである。しかし、統一法の制定を長年待っていた者にとっては、期待外れの結果となったようである。法案においては、まず、従業員数100人までの企業については、使用者の求めに応じて、監視組織ではなく、労使同数代表機関が、安全衛生関連の規制を遵守しているかを確認するための現場検証ができるとされている。したがって、公的機関による保護やコントロールの役割は、それだけ後退しているわけである。また、これまで罰則付きで担保されてきた給付の多くが、一定の条件付で強制ではなくなり、現場の慣行に委ねられることになった。CGIL(イタリア労働総同盟)、CISL(イタリア労働者組合同盟)およびUIL(イタリア労働連合)は、「予防に関する義務を大幅に引き下げ、使用者の責任を軽減し、労働者の保護を過度に引き下げるものだ」として、激しく今回の措置を非難している。

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