2004年7月からの改正労基法の施行に伴う週休2日制の実施状況

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  • 国別労働トピック:2004年9月

週休2日制(正確には週労働時間40時間制)を柱とする改正労基法は、2004年7月からまず公共部門と従業員1000人以上の大企業を対象に施行された。

週休2日制の実施をめぐって、まず目立つのは特例措置の適用を受け、繰り上げ実施する動きが広がっていることである。労働部は週休2日制の早期定着を図るために「従業員過半数の同意を得て労働部に申告すれば、法定施行時期を待たずに週休2日制を繰り上げ実施することができる」という特例措置を設けていたが、同特例措置の適用を受け、週休2日制を繰り上げ実施したのは、2003年末の47社から2004年2月末には203社、7月末には791社へと急増した。そのうち、改正労働法の趣旨に沿って労働協約や就業規則を改訂し、月次有給休暇の廃止、年次有給休暇の調整、生理有給休暇の無給への変更などを行ったのは2月末の86.7%から7月には92.5%に増えた。

同特例措置に加えて、雇用保険の「労働時間短縮助成金制度」が一つのインセンティブとして新たに導入されたこともあって、とりわけ中小企業の間で週休2日制の繰り上げ実施に踏み切るケースが急増したのである。「労働時間短縮助成金制度」は、従業員300人未満(製造業500人)の中小企業を対象に週休2日制の繰り上げ実施を促すために設けられたもので、法定施行時期の6ヵ月前に特例措置の適用を受け、労働時間を短縮し、従業員を追加雇用した場合、四半期毎に1人当たり150万ウォンを支給する。

次に、2004年7月からの改正労基法施行を機に、「公共部門が良い先例にならなければならない」という政府の圧力が効いたのか、公企業282社のうち、改正労基法の趣旨に沿って労働協約や就業規則を改訂したのは6月末の51.4%から7月末には91.8%に急増した。これに対して、従業員1000人以上の大企業426社の場合、改正労基法の趣旨に沿って労働協約や就業規則を改訂したのは6月末の20.2%から7月には70.7%に増えるのにとどまり、10.1%は従来の休暇や手当をそのまま温存し、4.4%は休暇の一部縮小に終わっている。

例えば、大手企業グループや自動車・造船業界などでは、2004年の賃上げ及び労働協約改訂交渉で、労組の強い抵抗に遭い、改正労基法に基づく労働条件の調整は経営側の思惑通りには進まず、「労働条件の削減のない週休2日制の実施」に合意したところが多い。これに対して、経済界では、「休暇制度と関連手当を調整しないまま週休2日制を実施すれば、人件費は最高で19.6%まで上昇する」、「大企業と中小企業の間で労働条件の格差はさらに広がり、結局中小企業はさらなる人件費負担を強いられることになる」と懸念する声があがっている。とともに、生産性向上のために早くも勤務態勢の強化や生産方式の改善に乗り出す動きも広がっている。

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