中華人民共和国労働・社会保障部令第20号(日本語訳)

カテゴリー:高齢者雇用労働法・働くルール労働条件・就業環境

中国の記事一覧

  • 国別労働トピック:2004年9月

中華人民共和国労働社会保障部令 第20号

『企業年金試行弁法』は、すでに2003年12月30日に労働社会保障部第7回部務会議で採決されたので、ここに公布し、2004年5月1日から施行する。

部長:鄭斯林
2004年1月6日

企業年金試行弁法

第一条
多層での養老保険制度を確立し、企業従業員の定年後の生活を保障し、社会保障システムを改善するために、労働法と国務院の関係規定に従い、本弁法を制定する。
第二条
本弁法がいう企業年金は、企業およびその従業員が法にもとづき、基本養老保険に参加する上で、自分の意志にもとづいて設立する補充養老保険制度である。企業年金を設立するときは、本弁法の規定にもとづいて執行しなければならない。
第三条
以下の条件に適合する企業は、企業年金を設立することができる
  1. 法にもとづき、基本養老保険に参加し、費用を納める義務を果たしている
  2. 相応の経済負担能力を備えている
  3. 団体協議体制を確立している。
第四条
企業年金を設立するにあたって、企業と労働組合あるいは従業員代表大会との団体協議を経て決定し、企業年金方案を制定しなければならない。国有および国有株式企業の企業年金方案の草案は従業員代表大会あるいは従業員代表大会に提出し議論をへて採決しなければならない。
第五条
企業年金には次の内容を含まなければならない
  1. 参加者の範囲
  2. 資金徴収方式
  3. 従業員の企業年金の個人口座の管理方式
  4. 基金管理方式
  5. 計算方式と支払い方式
  6. 企業年金待遇を支給するための条件
  7. 組織管理と監督方式
  8. 資金納付を中止するための条件
  9. 双方が約束したその他の事項。
    企業年金方式は企業での試用期間を満たした従業員に適用する。
第六条
企業年金方案は、所在地区の県以上の地方人民政府と労働保障行政部門に報告しなければならない。中央政府に直属する大型企業の年金方案は、労働保障部に報告しなければならない。労働保障行政部門は企業年金方案の原文を受け取った日から15日以内に異議を申し立てなければ、企業年金方案は効力を発生することになる。
第七条
企業年金が必要とする費用は、企業と従業員個人によって共同で納付される。企業が納付する費用の支払ルートは国の関係規定によって執行されるが、従業員個人の納付費用は、企業が従業員個人の賃金から控除する。
第八条
企業が毎年納付する費用は、その企業の前年度の従業員賃金総額の十二分の一を超えてはならない。企業と従業員個人の納付費用総額の合計はその企業の前年度の従業員賃金総額の六分の一を超えてはならない。
第九条
企業年金基金は以下の項目からなる
  1. 企業の納付費用
  2. 従業員個人納付費用
  3. 企業年金基金投資運営收益。
第十条
企業年金基金は、完全な積み立て制度を実施し、個人口座方式を採用し管理を行う。企業年金基金は国の規定によって投資運営をすることができる。企業年金基金の投資運営の收益は企業年金基金に入れる。
第十一条
企業納付は、企業年金方案が規定した比率に基づいて算出された金額を従業員の企業年金個人口座に計上しなければならない。従業員個人の納付額は本人の企業年金個人口座に計上する。
企業年金基金の投資運営の収益は、純收益率にもとづいて企業年金個人口座に計上されなければならない。
第十二条
従業員が国が定めた定年年齢に達したとき、本人の企業年金個人口座から一括あるいは分割で企業年金を受け取ることができる。国が定めた定年年齢に達しない場合には、個人口座から資金を受け取ることはできない。
海外に移住する人の企業年金個人口座の資金は、本人の要求に従い、一括で本人に支払うことができる。
第十三条
従業員が勤務先を変えるときに、企業年金の個人口座資金もそれに従い移転することができる。従業員が進学、軍隊への入隊、失業期間、あるいは新しい勤務先が企業年金制度を実行していない場合、その企業年金の個人口座は元の管理機構によって継続して管理される。
第十四条
従業員あるいは定年退職者が死亡した後、その企業年金個人口座の残額は本人が指定した受益者あるいは法定の相続者が、一括して受け取ることができる。
第十五条
企業年金を設立した企業は、企業年金受託者(以下は受託者という)を確立し、企業年金の管理を引き受けなければならない。受託者は企業が設立した企業年金理事会か、もしくは国の規定に適合する法人の受託機関でも良い。
第十六条
企業年金理事会は企業と従業員代表からなる。企業以外の専門家を招聘し参加させることもできる。その中、従業員代表は三分の一を下回ってはならない。
第十七条
企業年金理事会は本企業の企業年金事務を管理するほか、その他のいかなる形の営業活動を従事してはならない。
第十八条
受託者を確定するときに書面契約を締結しなければならない。契約の一方は企業で、もう一方は受託者である。
第十九条
受託者は資格のある企業年金口座管理機構に、企業年金口座の管理の責任を負う口座管理人として委託することができる。また、資格のある投資運営機構に、企業年金基金の投資運営の責任を負う投資管理者として委託することができる。
受託者は資格のある商業銀行もしくは専門の委託管理機構を、企業年金基金の委託管理の責任を負う委託管理者として選択しなければならない。
受託者は口座管理人、投資管理人および委託管理人と委託管理関係を確定し、書面の契約を締結しなければならない。
第二十条
企業年金基金は受託者、口座管理人、投資管理人および委託管理人の自有資産あるいはその他の資産と分けて管理しなければならず、その他の用途に流用してはならない。
企業年金基金管理は国の関係規定を執行しなければならない。
第二十一条
県級以上の各級人民政府の労働保障行政部門は本弁法の執行状況に対して監督検査の責任を負う。本弁法の規定を違反することに対して、労働保障行政部門は警告を与え、改正を命ずる。
第二十二条
企業年金契約の履行によって争議が発生した場合、当事者は法に基づき仲裁もしくは訴訟を提出することができる企業年金方案の設立および履行において争議が発生した場合、国の団体契約の争議処理規定にもとづき執行しなければならない。
第二十三条
企業の基本養老保険の社会統籌に参加するその他の事業主も、本弁法の規定に従い執行する。
第二十四条
本弁法は2004年5月1日から実施する。元労働部が1995年12月29日に公布した『「企業補充養老保険制度を確立するについての意見」を印刷発行することについての通達』はこれと同時に廃止とする。

出所

  1. 中国労働社会保障部弁公庁(国際研究部仮訳)

2004年9月 中国の記事一覧

関連情報