ホーチミン市が労働災害の削減を呼びかける
ホーチミン市における労働災害発生数が増加している。電力や建設の現場では暑さのために作業着等を着用せずに、サンダルで作業する労働者も多く、2004年1~5月には19件(20人死亡)、6月第1週だけで5件(6人死亡、7人負傷)の労災が発生している。
2年続けて死亡事故をおこしている企業もあることから、市の労働保護評議会は安全基準に違反する企業を罰するため、区レベルの労働監督委員会の設置を検討している。労災により死亡した場合、その過失が労働者にない場合は、雇用主は30カ月分以上の賃金相当額を保障せねばならない。多くの企業が災害を隠そうとするため実際の件数ははるかに高いと推測される。
ホーチミン市労働傷病兵社会問題局は、十分な安全訓練や装備が提供されない等の労働安全規則違反が横行していることから、重大な労働安全違反に対する雇用主への罰則規定の強化を進めている。
メモ:
- 労働法典第105条前段では、労働災害の定義を定めている。労働災害については、業務遂行に関連して、その過程で発生する死傷災害とされており、わが国においては労働災害について、業務遂行性と同時に業務起因性を判断要素としていることと比較すれば、その範囲が広いと見ることができる。
- 同条後段は、労働災害被災後の緊急治療や療養の実施並びに雇用主の過失責任について定めている。わが国の労働災害補償の考え方は、無過失責任とされていることからすれば、保障責任は、より限定的と見ることができる。
- 『最新・ベトナム労働法』日本労働研究機構
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