労働者退職金条例

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  • 国別労働トピック:2004年8月

行政院労働委員会 編纂・出版

中華民国93年6月30日総統華総一字義 第09300121821号令制定・公布全58条

第1章 総則

第1条
  1. 労働者の定年退職後の生活保障を増進し、雇用関係を強化し、社会ならびに経済の発展を促進するため、特に本条例を制定する。
  2. 労働者の退職金に関する事項については、本条例が優先的に適用される。本条例に定めがないときは、他の法律の定めが適用される。
第2条
本条例にいう所管機関とは、中央においては行政院労働委員会であり、直轄市においては直轄市の政府であり、県(市)においては、県(市)の政府である。
第3条
本条例にいう労働者、雇用者、事業団体、労働契約、賃金ならびに平均賃金の定義については、労働基準法第2条の定めによる。
第4条
  1. 中央の所管機関は、労働者の退職基金の審議、監督、審査ならびに本条例に係る年金保険の実施のため、労働者退職基金総合経営委員会(以下「総合経営委員会」と称する)を設置しなければならない。
  2. 総合経営委員会は、独立して職権を行使する。その組織、会議ならびにその他の関連事項については、別途法律をもって定める。
  3. 総合経営委員会が設置された後、労働基準法第56条第2項所定の労働者退職基金の管理業務は、総合経営委員会の業務に繰り入れられ、同委員会が全面的に計画を考慮し、取り扱うものとする。
第5条
労働者退職準備金の収支、保管、滞納金の徴収、過料の処分ならびにその強制執行等に関する業務は、中央の所管機関が労働者保険局(以下「労働者保険局」と称する)に委任して、取り扱わせるものとする。
第6条
  1. 雇用者は、本条例が適用される労働者のため、毎月退職準備金を徴収し、労働者保険局が開設する労働者退職金個人口座に預け入れなければならない。
  2. 本条例に別段の定めがある場合を除き、雇用者は、自ら定める他の労働者退職金弁法をもって、前項に定める労働者退職金制度に代えてはならない。

第2章 退職金制度の適用および関連事項

第7条
  1. 本条例の適用対象は、労働基準法が適用されるわが国の国籍を有する労働者である。ただし、私立学校法の定めに従い退職準備金が徴収される場合は、本条例は適用されない。
  2. 実際に労働に従事する雇用者ならびに雇用者の同意を得て自ら退職準備金を納付する、労働基準法の適用を受けないわが国の国籍を有する業務者または委任された支配人は、自ら退職準備金を納付することを申し出ることができ、かつ、本条例の定めに従い、退職準備金の納付を行い、ならびに退職金の支給を申請することができる
第8条
  1. 本条例の施行前にすでに労働基準法の適用を受けている労働者が、本条例施行後も同一の事業団体において勤務するとき、その労働者は、引き続き労働基準法所定の退職金の定めの適用を選択することができる。ただし、退職後に再雇用される場合は、本条例所定の退職金制度が適用されなければならない。
  2. 公営事業が本条例施行後に民営化される場合において、労働者の身分を兼ね備えた公務員が引き続き雇用されるとき、その労働者は、労働基準法所定の退職金の定めもしくは本条例所定の退職金制度を選択して適用することができる。
第9条
  1. 雇用者は、本条例が公布された後施行されるまでの1日の間に、本条例所定の労働者退職金制度の適用を受けるかそれとも労働基準法所定の退職金の定めが適用されるのを望むかについて、書面をもって労働者に諮問しこれを選択させなければならない。労働者が期限までに選択しないとき、本条例の施行日以降も引き続き労働基準法所定の退職金の定めが適用される。
  2. 労働者が本条例の施行日以降も引き続き労働基準法所定の退職金の定めの適用を選択する場合においても、5年以内であれば本条例所定の退職金制度を選択することができる。
  3. 雇用者は、本条例所定の退職金制度が適用される労働者のため、以下の定めに従い、労働者保険局において、退職準備金徴収手続きをとらなければならない。
    1. 本条第1項の定めに従い、どちらの退職金制度の適用を受けるかの選択が行われるとき、本条例施行後15日以内に申告されなければならない。
    2. 本条第2項の定めに従い、労働基準法所定の退職金の定めの適用が選択されるとき、その適用を受けることが選択された日から15日以内に申告されなければならない。
    3. 本条例施行後、新たに設立された事業団体については、設立日から15日以内に申告されなければならない。
第10条
労働者は、本条例所定の退職金制度の適用を受けることを選択した後は、再度変更して労働基準法所定の退職金の定めの適用を選択してはならない。
第11条
  1. 本条例施行前にすでに労働基準法の適用を受けている労働者が、本条例施行後も同一の事業団体に勤務する場合において、本条例所定の退職金制度の適用を受けることを選択するとき、その労働者の本条例が適用されるまでの勤続期間は保持されなければならない。
  2. 前項の定めに従い保持される勤続期間に関し、労働契約が労働基準法第11条、第13条但書き、第14条、第20条、第53条、第54条もしくは職業災害労働者保護法第23条、第24条の定めに従い終了するとき、雇用者は、各法規の定めに従い、契約終了時における平均賃金をもって、当該保持期間における解雇手当もしくは退職金を支給することを計画し、かつ労働契約終了後30日以内に支給しなければならない。
  3. 本条第1項の定めにより保持される勤続期間につき、労働契約存続期間中は、労働基準法第55条ならびに第84条の2に定める給与清算標準を下回ってはならないとの労働者・雇用者間の約定が存在するときは、その約定による。
  4. 公営事業の公務員が労働者の身分を兼ね備えるとき、民営化された日付で、民営化までの勤続期間を、民営化前に適用されていた退職関連法令に基づき、退職金が受領されるものとする。ただし、引き続き雇用される要員の月ごとの定期退職金請求権ならびに関連する権利は、停止されなければならない。なお、当該権利は当該要員の退職時に回復される。
第12条
  1. 本条例が適用された後における勤続期間に関し、労働者が本条例所定の退職金制度の適用を受ける場合において、労働契約が労働基準法第11条、第13条但書き、第14条、第20条もしくは職業災害労働者保護法第23条、第24条の定めに従い終了するとき、その解雇手当については、雇用者により、当該労働者の勤続期間に応じて、期間が1年を満了するごとに平均賃金の2分の1カ月相当分が支給され、期間が1年に満たないときは、比例按分により支給される。なお、解雇手当の支給は、平均賃金の6カ月相当分を最高限度とし、労働基準法第17条の定めは適用されない。
  2. 前項の定めに従い計算される解雇手当は、労働契約終了後30日以内に支給されなければならない。
  3. 引き続き労働基準法所定の退職金の定めの適用を選択した労働者については、その解雇手当は、同法第17条の定めに従い支給されなければならない。
第13条
  1. 労働者の退職金を保障するため、雇用者は、労働基準法の退職制度と本条例適用以前の勤続期間を保持した労働者の人数、賃金、勤続期間、流動率等の要素のいずれかを選択して適用することにより、労働者退職準備金の徴収率を算定し、引き続き労働基準法第56条第1項の定めに従い、毎月行われる労働者退職準備金の徴収の5年分以内の相当額に足る金額をもって、退職金の支給の引き当てとしなければならない。
  2. 労働者・雇用者双方が、本条例第11条第3項の定めに従い、清算される退職金を約定するとき、労働基準法第56条第1項に定める労働者退職準備金口座から、これを支給することができる。
  3. 本条例第11条第4項の定めに従い支給される労働者退職金は、公営事業民営化条例第9条の定めに従い、取り扱われなければならない。

第3章 退職金口座による退職積立金の徴収および退職金の支給申請

第14条
  1. 雇用者が毎月負担する労働者退職積立金の控除率は、労働者の月給の100分の6を下回ってはならない。
  2. 前項に定める月ごとの賃金からの退職準備金徴収選別表については、中央の所管機関が立案し、行政院に報告され認可申請が行われた上で、行政院が決定するものとする。
  3. 労働者は、月給の100分の6の範囲内であれば、別途退職準備金を納付することを自ら申し出ることができる。労働者が自ら納付を申し出た部分については、当年度の個人総合所得総額からその全額が控除される。
  4. 本条例第7条第2項の定めに従い、自ら退職準備金を納付する申し出がなされるとき、前3項の定めに従い取り扱われるものとする。
第15条
  1. 同一の雇用者もしくは本条例第7条第2項、第14条第3項の定めに従い自ら退職準備金の納付を申し出る者による労働者退職準備金の控除率の調整は、1年に2回を限度とする。調整が行われるとき、雇用者は、当月月末までに、控除率を記載した調整表を作成して労働保険局に通知しなければならない。その効力は、通知の翌月1日より生じる。
  2. 労働者の賃金が当年2月から7月までに調整されるとき、その雇用者もしくは所属団体は、当年8月末までに、調整後における毎月の賃金からの徴収額を労働者保険局に通知しなければならない。労働者の賃金が当年8月から翌年1月までの間に調整されるとき、翌年2月末までに上述の事項が労働者保険局に通知されなければならない。いずれの場合においても、徴収額の調整は、通知がなされた日の翌月1日より効力が生じるものとする。
  3. 本条第1項所定の徴収率の計算にあたっては、百分率の小数点第一位までを限度とする。
第16条
労働者退職準備金の徴収期間は、就職した日から退職する日までとする。ただし、本条例が施行された日から本条例所定の退職金制度の適用を受けることが選択されるときは、その徴収期間は、本条例所定の退職金制度の適用が選択された日から退職する日までとする。
第17条
  1. 本条例第7条第2項の定めに従い、自ら退職準備金を納付する申し出がなされるとき、申し出をした労働者の雇用者または所属団体が、自ら退職準備金を納付する申し出がなされた日もしくはその徴収を停止する日に、労働者保険局において、徴収開始手続きもしくは徴収停止手続きを行い、同時に毎月の賃金からの控除額・徴収額を申告するものとする。
  2. 前項の定めに従い、自ら退職準備金を納付する申し出がなされるとき、その徴収期間は、自ら退職準備金を納付する申し出がなされたことが申告された日から徴収の停止が申告された日までとする。
第18条
雇用者は、労働者が就職、退職、復職または死亡した日から7日以内に、リストを作ってその旨を労働者保険局に通知し、労働者退職準備金の開始手続きまたは停止続きをとらなければならない。
第19条
  1. 雇用者が徴収ならびに受領しなければならない退職準備金の額については、労働者保険局が納付通知書を作成して翌月25日までに各事業団体に郵送するものとする。雇用者は翌々月末までにこれを納付しなければならない。
  2. 労働者が自ら退職準備金を納付する申し出がなされたとき、その労働者による退職準備金を雇用者が受領した後、雇用者の負担部分と共に、労働者保険局に納付されなければならない。その退職準備金の徴収期間は、自ら納付する申し出がなされた日から退職する日までとする。
  3. 雇用者が期限までに退職準備金の預け入れを行わずもしくは預け入れられた金額が所定の額に満たないとき、労働者保険局は、その雇用者が期限までに完納するよう、催告しなければならない。
第20条
  1. 労働者がポストはもとのまま無給で休職し、軍隊に入隊・服役し、法律上の事件を起こして停職処分を受けもしくは未決拘留されたとき、雇用者は、当該事由が発生した日から7日以内に、労働者保険局に対し、書面をもって退職準備金の徴収の停止を申告しなければならない。労働者が復職するとき、雇用者は、労働者保険局に対し、書面をもって退職準備金の徴収の開始を申告しなければならない。
  2. 法律上の事件を起こして停職処分を受けもしくは未決拘留されていた労働者が復職した後、雇用者が停職期間中における不足分の賃金を支給するものとする。また、雇用者は、当該労働者の復職当月の翌々月末までに、退職準備金の不足額を徴収しなければならない。
第21条
  1. 雇用者は、退職準備金の徴収額を、毎月書面をもって労働者に通知しなければならない。
  2. 雇用者は、労働者雇用名簿を備え置かなければならない。その内容には、労働者の就職、退職、出勤業務記録、賃金、毎月の退職準備金徴収記録ならびに関連資料が含まれなければならない。
第22条
業団体は、自ら定めた他の労働者退職金制度をもって、本条例所定の労働者退職金制度に代えてはならない。
第23条
  1. 退職金の受領方法ならびに計算方法は以下の通りである。
    1. 月ごとの定期退職金:労働者個人の退職金口座の元金ならびに累積益について、年金生命表に従い、平均寿命ならびに利率等を基礎に計算される所得額を、定期的に支給される退職金とする。
    2. 一括払い退職金:一括して受領される労働者個人の退職金口座の元金ならびに累積益である。
  2. 本条例に従い徴収される労働者退職準備金の運用益は、当地の銀行における2年ものの定期預金の利率を下回ってはならない。不足額については国庫により填補されるものとする。
  3. 本条第1項第1号にいう年金生命表、平均寿命、利率ならびに金額の計算については、労働者保険局が立案し、中央の所管機関に報告され、認可申請がなされた後、同所管機関が決定するものとする。
第24条
  1. 労働者の年齢が満60歳に達し、勤続期間が15年になるとき、その労働者は、月ごとの定期退職金の支給を申請することができる。ただし、勤続期間が15年に満たないときは、一括払い退職金の支給が申請されなければならない。
  2. 前項に定める勤続期間の計算に際しては、実際に退職準備金を納付した勤続期間が基準とされなければならない。勤務が中断されたときは、その前後の退職準備金が納付された勤続期間を合計して、計算するものとする。
  3. 労働者に労働基準法が適用されない場合において、本条第1項に定める事由が存在するとき、その事由が発生した時から退職金支給申請をすることができる。
第25条
  1. 労働者が月ごとの定期退職金の支給申請をするとき、その労働者は、一定額を一括して納付して年金保険をかけ、本条例第23条第3項所定の平均寿命を超えた後における年金給付の引当てとしなければならない。
  2. 前項に定める納付額、納付手続きならびに保険が付保される保険者の資格については、中央の所管機関が定めるものとする。
第26条
  1. 労働者が退職金の支給申請をする前に死亡するとき、その労働者の遺族もしくは指定を受けた支給申請者により、一括払い退職金の支給が申請されなければならない。
  2. すでに月ごとの定期退職金を受領している労働者が本条例第23条第3項所定の平均寿命に達する前に死亡するとき、月ごとの定期退職金の給付は停止されるものとする。その労働者の個人退職金口座に清算余剰金があるときは、その遺族または退職金支給申請の指定を受けた者が受け取るものとする。
第27条
  1. 前条の定めに従い退職金の支給申請をすることができる遺族の順位は、以下の通りである。
    1. 配偶者ならびに子
    2. 父母
    3. 祖父母
    4. 兄弟姉妹
  2. 前項所定の遺族のうち、同一順位の者が数人いるとき、退職金は共同で受領されるものとする。署名しない遺族がいるときは、受領した遺族が分配する責めを負うものとする。死亡もしくは相続放棄または法定事由により相続権を喪失した遺族がいるときは、その残りの遺族が退職金の支給申請をするものとする。ただし、労働者の生前にあらかじめ遺族が退職金支給申請者に指定されたときは、その遺族が支給申請をするものとする。
  3. 労働者が死亡した後、本条第1項所定の遺族もしくは指定を受けた退職金支給申請者がいないとき、その労働者の退職金口座の元金ならびに累積益は、労働者退職基金に組み入れられなければならない。
第28条
  1. 労働者またはその遺族もしくは指定を受けた支給申請者が退職金の支給を申請するとき、それらの者は、申請書に必要事項に記入して具申し、かつ関連文書を遺漏なく添付して、労働者保険局に対し支給申請をしなければならない。なお、添付する関連文書の内容ならびに支給申請手続きについては、労働者保険局が定めるものとする。
  2. 退職金支給申請手続きが完了し、審査の上、月ぎめの定期退職金が支給されるとき、その申請書を受け取った日の翌月から毎月支給されなければならない。一括払い退職金の支給申請がなされたときは、その申請書を受け取った日から30日以内に支給されなければならない。
  3. 労働者またはその遺族もしくは指定を受けた支給申請者による支給請求を受けた退職金の清算基準については、中央の所管機関が定めるものとする。
  4. 本条第1項に定める退職金請求権は、支給申請し得る日から5年間行使しないことにより消滅する。
第29条
労働者の退職金の受給権ならびに退職金の支給を申請する権利は、これを譲渡し、差し押さえ、相殺しもしくは担保に供してはならない。
第30条
雇用者が労働者のために徴収する金額に関し、労働者の退職を理由に、損害賠償もしくは労働者に対する納付金の返還要求として、労働者の賃金を差押えてはならない。退職時に損害賠償もしくは納付金の返還の約定がされるとき、その約定は無効とする。
第31条
  1. 雇用者が本条例の定めに従い毎月労働者退職準備金を徴収せずまたは徴収額が所定の額に満たないため、労働者が損害を受けるとき、その労働者は、雇用者に対し、損害賠償を請求することができる。
  2. 前項の賠償請求権は、労働者が退職した時から5年間行使しないことにより消滅する。
第32条
労働者退職基金の出所は、以下の通りである。
  1. 労働者の個人口座の退職準備金
  2. 基金の運用益
  3. 徴収した滞納金
  4. その他の収入
第33条
  1. 労働者退職基金については、労働者への退職金の支給ならびに投資のための運用資金として用いられる場合を除き、これを差押え、担保に供しもしくは他の用途に流用してはならない。その管理、運用ならびに利益の分配について定めた弁法は、中央の所管機関が立案し、行政院に報告され認可申請がなされた後に、行政院が決定するものとする。
  2. 労働者退職準備金の経営ならびに運用について、総合経営委員会は、金融機関に委任して取り扱わせることができる。経営の委任に関する定め、その範囲ならびに経費については、総合経営委員会が立案し、中央の所管機関に報告され認可申請がなされた後に、同所管機関が決定するものとする。
第34条
  1. 労働者保険局は、労働者退職準備金ならびに労働者退職基金の財務収支について、個別の原簿を作成し、かつ自らが取り扱うその他の業務と別々に処理しなければならない。それに関連する会計報告ならびに年度決算については、関連法令の定めに従い処理され、かつ総合経営委員会の審査を受けなければならない。
  2. 労働者退職基金の収支、運用ならびに同基金の累積額については、毎月総合経営委員会に報告されてその審議を受け、かつ中央の所管機関に報告され、同機関において調査に備えて保存されなければならない。なお、中央の所管機関は、毎年これを公告しなければならない。

第4章 年金保険

第35条
  1. 200人以上の雇用労働者を抱える事業団体は、その団体の労働組合の同意を得て、事業団体に労働組合がないときは総労働者の2分の1以上の同意を得た上で、保険法の定めに適合する年金保険をかけ、本条例第6条第1項の定めによることなく労働者退職準備金を徴収することができる。ただし、年金保険に加入することを選択する労働者数が全労働者数の2分の1に達しないときは、これを実施してはならない。
  2. 前項所定の年金保険の収支、認可ならびにその他の遵守されなければならない事項を定めた弁法については、中央の所管機関が定めるものとする。事業団体が前項に定める年金保険を採用・実施するとき、その事業団体は、中央の所管機関に報告して、その認可を申請しなければならない。
第36条
  1. 雇用者が毎月実施する年金保険料の控除率は、労働者の月収の100分の6を下回ってはならない。
  2. 雇用者は、毎月月末までに保険料を徴収しなければならない。なお、保険料の納付状況について、保険者は翌月7日までに労働者保険局に通知しなければならない。
第37条
年金保険の契約締結に際しては、雇用者が保証人となることを要し、労働者が被保険者ならびに受益者とされなければならない。一事業団体が保険をかけることができる保険者は、一保険者のみとする。保険者の資格については、中央の所管機関が保険業務の所管機関と共同で定めるものとする。
第38条
  1. 労働者が退職した後再び就業する場合に締結する年金保険の契約については、新しい雇用者が保証人となることを要し、引き続き保険料が徴収されなければならない。新旧の雇用者が開設もしくは加入する年金保険の控除率が異なるとき、その差額は労働者自身により負担されなければならない。ただし、新たな雇用者が自らこれを負担することを望む場合は、この限りではない。
  2. 前項に定める労働者の新しい雇用者が年金保険に加入しないとき、その雇用者は、本条例第6条第1項の定めに従い、退職準備金を徴収しなければならない。労働者・雇用者双方に別段の約定がある場合を除き、年金保険契約に係る保険料は、労働者が自らその全額を負担するものとする。労働者が保険料を納付することができない場合においても、年金保険契約は存続し、保険法ならびに当該保険契約の定めに従い処理されなければならない。
  3. 本条第1項に定める、労働者が退職後再就職するときは、雇用者は本条例第6条第1項の定めに従い、退職金を徴収することを選択することができる。
第39条
本条例第7条ないし第13条、第15条、第16条、第20条、第29条ないし第31条の定めは、本条所定の年金保険に準用される。

第5章 監督ならびに経費

第40条
  1. 労働者の権益を保護するため、所管機関、労働検査機関もしくは労働者保険局は、必要に応じて、事業団体の労働者名簿ならびに関連資料を差押えることができる。
  2. 雇用者が本条例の定めに違反していることを労働者が発見するとき、その労働者は、雇用者、労働者保険局、労働検査機関もしくは所管機関に不服申立てを行うことができる。雇用者は、労働者が不服申立てを行ったことを理由に、その労働者に対し、いかなる不利な取り扱いも行ってはならない。
第41条
労働者退職基金の運用を委託された金融機関において、その運用に意図的に干渉を行い、操作しもしくは指示し、またはその他の労働者の利益に損害を及ぼす事由が存在することが発見されるとき、総合経営委員会に通知されなければならない。総合経営委員会は、措置を講じる必要があると認めるときは、遅滞なく中央所管機関に通知して、必要な措置を講じさせなければならない。
第42条
所管機関、総合経営委員会、労働者保険局、労働者退職基金の運用委託を受けた金融機関ならびにその関係機関、団体の所属要員は、業務上知り得た秘密を外部に公表しもしくは不法な利益を貪ってはならないとともに、善良な管理者としての忠実義務を尽くし、労働者ならびに雇用者のため、その経済的利益を最大にすることを追求しなければならない。
第43条
総合経営委員会ならびに労働者保険局が本条例の定めに基づく行政を企画・立案しならびに実施するために必要な経費は、中央の所管機関が予算を編成して、手当てするものとする。
第44条
労働者保険局が本条例の定めを執行する業務に係る一切の帳簿、証票ならびに業務上の収支については、いずれも課税が免除されるものとする。

第6章 罰則

第45条
労働者退職基金の運用を委託された機関が本条例第33条第2項の定めに違反し、労働者退職基金を指定されていない投資運用プロジェクトに使用するとき、その機関に対し、新台湾ドル換算で200万ドル以上1000万ドル以下の過料が課されるとともに、中央の所管機関により、期限を定めた利息返還命令が下されなければならない。
第46条
保険者が本条例第36条第2項の定めに違反し、期限内に労働者保険局に通知しないとき、その保険者に対し、新台湾ドル換算で6万ドル以上30万ドル以下の過料が課されなければならない。なお、この過料の賦課は、当該行為が是正されるまで毎月継続して実施されなければならない。
第47条
雇用者が本条例第11条第2項、第12条第1項、同条第2項もしくは第39条の定めに違反し、条件ならびに期限を付加するとき、その雇用者に対し、新台湾ドル換算で25万ドル以下の過料が課されなければならない。
第48条
事業団体が本条例第40条の定めに違反し、資料の提供を拒否しもしくは不服申立てを行った労働者に対し不利な取り扱いをするとき、その事業単位に対し、新台湾ドル換算で3万ドル以上15万ドル以下の過料が課されなければならない。
第49条
雇用者が本条例第9条、第18条、第20条第1項、第21条第2項もしくは第39条の定めに違反し、退職準備金徴収手続き、徴収停止続きもしくは労働者名簿備え付けを行わない場合において、期限を定めた是正命令を受けたにもかかわらず期限までに是正しないとき、その雇用者に対し、新台湾ドル換算で2万ドル以上10万ドル以下の過料が課されなければならない。なお、この過料の賦課は、当該行為が是正されるまで毎月継続して実施されなければならない。
第50条
  1. 雇用者が本条例第13条第1項の定めに違反し、毎月継続して労働者から退職準備金を取り立てないとき、その雇用者に対し、新台湾ドル換算で2万ドル以上10万ドル以下の過料が課されなければならない。なお、この過料の賦課は、毎月継続して実施されなければならない。ただし、労働基準法第79条第1項の定めに基づき過料が課されるときは、重複して課されないものとする。
  2. 所管機関が前項の定めに従い執行しなければならないにもかかわらず執行しないとき、その所管機関は、公務員考課法令の関連処分規定に従い、処分されなければならない。
  3. 本条第1項の定めに従い徴収される過料は、労働基準法第56条第2項の定めに基づく労働者退職基金に組み入れられるものとする。
第51条
雇用者が本条例第30条もしくは第39条の定めに違反し、労働者の賃金を差押えるとき、その雇用者に対し、新台湾ドル換算で1万ドル以上5万ドル以下の過料が課されなければならない。
第52条
雇用者が本条例第15条第2項、第21条第1項もしくは第39条の申告、通知の定めに違反するとき、その雇用者に対し、新台湾ドル換算で5000ドル以上25000ドル以下の過料が課されなければならない。
第53条
  1. 雇用者が本条例第14条第1項、第19条第1項もしくは第20条第2項の定めに違反し、期限までに退職準備金を納付せずもしくは納付額が所定の額に満たないとき、その雇用者に対し、期限満了の翌日から完納日の前日まで、期限超過1日あたり、納付しなければならない金額の100分の3相当の滞納金が、納付しなければならない金額と同額を上限に、徴収されなければならない。なお、納付額が所定の金額に満たないときは、期限満了日の翌日から毎月、納付しなければならない金額の2倍相当の滞納金が、納付額が所定の金額に達するまで、徴収されなければならない。毎年徴収される滞納金が1カ月に満たない部分については、按分比例により計算されるものとする。
  2. 雇用者が本条例第36条、第39条の定めに違反し、期限までに保険料を納付せずまたは納付額が規定の金額に満たないとき、その雇用者に対し、負担しなければならない金額と同額の過料が課されなければならない。なお、この過料の賦課は、当該行為が是正されるまで毎日継続して実施されなければならない。
第54条
  1. 本条例の定めに基づき徴収される滞納金ならびに賦課される過料について、当該処分を受ける者は、その通知を受け取った日から30日以内に納付しなければならない。期限が満了した後も納付されないときは、法の定めに従い、強制執行措置に移行されなければならない。
  2. 本条例第39条所定の年金保険に係る過料処分ならび強制執行業務については、労働保険局に委任して取り扱わせるものとする。
第55条
法人の代表者もしくはその他の従業員、自然人の代理人もしくは被雇用者が、その業務の執行に際し本条例の定めに違反するとき、本章の定めに従いその行為者が処分されるとともに、当該法人もしくは自然人に対しても、該当条項所定の過料が課されなければならない。ただし、法人の代表者もしくは自然人がその違反の発生に関し、その行為を防止するため尽力した場合は、この限りではない。法人の代表者もしくは自然人が、本条例の定めに違反した行為者を教唆しもしくはその行為を容認するとき、その代表者らは行為者をもって論じられなければならない。

第7章 附則

第56条
事業団体が分割、合併または譲渡により消滅するとき、その団体が滞納している労働者退職準備金については、当該事業を譲り受けた事業団体が当然に引き受けなければならない。
第57条
本条例の施行細則については、中央の所管機関が定めるものとする。
第58条
本条例は、公布日の1年後に施行される。

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