「職業訓練協定」、独政府と経営者団体が締結

カテゴリー:人材育成・職業能力開発

ドイツの記事一覧

  • 国別労働トピック:2004年7月

ドイツ政府と経営側4団体は6月16日、2006年まで、新たに毎年3万人の職業訓練ポストを創出することをうたった職業訓練協定を結んだ。ドイツ連邦議会は5月に、企業が受け入れる職業訓練生の数が一定数をを下回った場合に課徴金の支払いを義務づける職業教育訓練保障法案を可決していたが、経営側を中心に、法律による強制的な措置ではなく、自主的な協定を模索する動きが続いていた。同法案の成立へ向けての作業(法案が送られる連邦参議院では野党が多数であるため、成立には同協議会での調整が必要)は停止され、05年秋に改めて必要な措置などを検討する。今回の協定には、労働側などから効力を疑問視する声も出ている。

職業訓練協定には、政府側からW・クレメント経済労働相、経営側からBDI(ドイツ産業連盟)、BDA(ドイツ経営者連盟)、DIHK(ドイツ商工会議所)、ZDH(ドイツ手工業会議所)のトップがそれぞれサインした。クレメント氏は賦課金を強制する今回の法制化には消極的で、協定化を模索してきた。連邦教育相のE・ブルマン氏も今回の協定を支持している。

協定によると、今年から06年までの間に、経営側は年平均3万の新たな職業訓練ポストを用意することを「義務づけられた目標」とする。このほか、職業訓練ポストの獲得が困難な若年者層を対象に、6~12カ月の資格付与のための訓練ポストの提供も盛り込んでいる。この短期の訓練ポストは年間2万5000とし、企業は人件費を負担するが、連邦雇用機関が対象者の生計費を助成する。さらに、連邦政府は自ら提供する職業訓練ポストを04年に20%増やすこと、東地域の職業訓練プログラムが04年に1万4000人を対象に続行されることなどが柱だ。

今回の協定化に対して、野党CDU(キリスト教民主同盟)の議員からは「提案を文書化しただけで(訓練ポスト創出の)保証はない」という疑問の声が出ている。DGB(ドイツ労働総同盟)のM・ゾマー会長は、「10万人の若者が訓練ポストを捜しているか空きを待っている」とし、3万人のポスト提供をうたうことで、経営側が「問題を話題に上らないようにし、因果関係をぼやかそうとしている」と批判。法律による訓練ポスト数の確保を求める立場を強調した。

2004年7月 ドイツの記事一覧

関連情報