最近の雇用状況と失業対策プログラム

カテゴリー:雇用・失業問題統計

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  • 国別労働トピック:2004年6月

総統府予算会統計局(DGBAS)が、5月21日に発表した「最近の人的資源調査」によると、4月の失業率は4.3%、失業者数は44万4000人であった。失業率は、昨年の同時期に比べ0.56%減少している。また、31週間継続的失業者は、前月比0.8%減少している平均賃金額も減少しており、これはサービス産業でのパートタイム労働者数の増加による影響とみられる。

学歴別に失業率をみると、高卒および職業訓練校卒業者は、4.85%で、昨年の同月比で0.79%減少している。中学卒業者は、4.25%で、昨年の同月比で1.05%減少している。大学卒以上をみると3.92%で、昨年同月比で0.26%上昇している。

年齢別にみると、15歳から24歳の失業率は、9.76%、昨年同月比で0.86%減少している。25歳から44歳までは4.08%、0.39%の減少である。45歳から64歳は3.19%で、0.64%の減少であった。

一方、雇用者数をみると、97万3200人で19万7000人、2.07%が増加した。しかし、15歳から25歳までの若者に限ってみると、2003年6月以来減少傾向にあり、9.76%が減少している。労働力率は、57.42%で、昨年同月比で0.21%増加している。今年の1月から4月の労働力率をみても、57.46%と昨年同期比で0.15%の伸びを示している。

上記のような労働力率の上昇と失業率の減少傾向は、経済成長の影響による。2004年は、5.41%成長が目標として掲げられている。地方産業の多くは、投資を強化し、需要にみあった人材を確保するよう努力している。DGBASによると、過去7ヶ月に製造業だけで6万8000人の雇用が生み出されている。一方、平均給与については、減少傾向にあるが、製造業における平均労働コストも昨年同月比で8.85%減少している。このことは、製造業の労働者の所得が減少していることを表している。DGBASは、長期失業の後に低い賃金で職を得ている労働者の存在を指摘している。

また、サービス産業において、コンビニエンスストア、レストラン、クリーニング店、小売販売などで雇用されるパートタイム労働者の増加も指摘される。

公共サービスと雇用のためのプログラムの実施がさらに拡大されれば、失業率はさらに0.1%減少するであろうとDGBASは予測している。

公共サービスと雇用のためのプログラムは、1995年に失業率が1.5%から徐々に上昇をはじめて以来開始された失業者の再就職促進のためのプログラムのひとつである。

このプログラムは、35歳から65歳までの過去3年間に6ヶ月以上失業している者を対象としており、特に45歳から65歳までの高齢者、家事責任を負っている女性、身体障害者、少数民族、低所得者のための雇用促進プログラムである。このプログラムは、2003年6月に発布された総統による「雇用拡大のための公共サービス緊急法」に基づき、公共職業サービスエージェンシー、県、市など地方政府、労働委員会(中央政府)、全国の中小企業からの協力の下で実施される。プログラムの対象者は、毎月16,720台湾ドルから22,000台湾ドルの給与を6ヶ月から12ヶ月にわたり受けることができ、同時に労働保険と国家健康保険にも加入する。

台湾の失業率が過去と比較し、上昇傾向にあるという点から見て、このプログラムは6月に期限を迎えるが、期限終了後も継続されることが期待されている。

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