失業率わずかに上昇も、労働市場に明るい兆し
―2003年雇用動向

カテゴリー:雇用・失業問題統計

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  • 国別労働トピック:2004年6月

シンガポール人材資源省(Ministry of Manpower)の発表によると、シンガポール2003年の平均失業率は4.7%となり、一昨年の4.4%からわずかに0.3ポイント上昇した。2003年通年の雇用者数は、全体で約1万3000人減少したが、2002年の約2万3000人減と比較すると、減少幅は約半分に縮小している。

業種別にみると、減少要因のほとんどは建設業(約1万7000人減)と製造業(約5000人減、石油・化学除く)に集中しており、逆にサービス業では約1万人(内、行政・サービス・教育約4000人、レストラン約3000人、医療関連サービス約3000人)増加している。

他方、解雇者数は、前年比14%減であったが、約1万6000人全体に占める業種別割合では、サービス業が49%となり、1990年以来初めて、製造業の45%を上回った。政府は、サービス業の解雇者増について、“SARS”の打撃や、業界内の再編、統合の動きが活発化したことが背景にあると説明している。職種別では、専門職、管理職、技術職が、1000人当り、16.7人解雇され、2年連続で、製造従事者1000人あたり15.8人を上回った。全体に占める割合では、40%が専門職、管理職、技術職で、34%が製造従事者、秘書、販売、サービス従事者が26%だった。全体的には、年度前半SARS等のマイナス要因はあったが、2002年から2003年初頭にあったような大量解雇の情報は目立っておらず、労働市場は比較的落ち着きを取り戻したと言えよう。

政府は今後の見通しについて、経済回復に伴い、労働市場もさらに安定してくるだろうと予測している。今年(2004年)1月、Hudon Global Resources社調査では、10社中4社は、有能な社員を保持するのは困難との見通しを立てている。景気回復を背景に、Job-hoping(転職)の動きが、活発化する気配を見せている。

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