失業解決のため北米労働市場の統合を(人口審議会)

カテゴリー:雇用・失業問題

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  • 国別労働トピック:2004年6月

5月14日発表の政府資料によれば、2004年第1四半期の失業者は前年同期より35万人増加して124万人。計算上、労働市場への新規参入者の約3割が就職できない状況にある。メキシコでは景気回復が遅れ、2003年の実質経済成長率は1.3%にとどまった。特に製造業では3年連続のマイナス成長となった。

そうした中で米国への移民は増加を続けている。移民による本国送金額は、過去最高の130億ドルに達した。米国ウォール・ストリート・ジャーナル紙によれば、メキシコと米国との1人当たり所得格差は現在1対8。この格差が拡大を続ける限り、移民の流入は止められないと同紙は指摘している。

米国では事実上移民労働力が経済活動の一部を担っている。ブッシュ大統領は今年の1月、「一時労働者プログラム」の導入を柱とする新たな移民政策を提案した。同プログラムでは、米国に不法滞在している外国人労働者又は就労希望の外国人は3年に限って就労が認められる。これは不法労働者に包括的な恩赦を与えたり永住権や市民権と関係づけられるものではなく、就労期間が終了した「一時労働者」は帰国を要請される。メキシコのフォックス大統領はこの提案の数日後に行われた米・メキシコ首脳会談時の会見でこれに「全面的に賛成」し、米国議会で幅広く議論されるべきとコメントした。しかし米国内では賛否両論を呼んでおり、議会審議は難航も予想される。

一方、メキシコの国家人口審議会(CONAPO)は「北米諸国における人口収斂」と題する研究報告の中で、北米労働市場の統合を提案した。CONAPOによれば米国とカナダでは中長期的に人口の高齢化が進み、2010年代半ばからは労働力人口の減少が始まる。これに対しメキシコでは同様の現象が始まるのは2020年代後半とみられる。このためメキシコの労働力人口の雇用市場への圧力を米国やカナダに向かわせることで均衡が図られ、問題が解決できるとしている。

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