民主労総系金属労連傘下の統一重工業で労使交渉妥結

カテゴリー:労使関係労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2004年6月

20年近く慢性的に労使紛争を繰り返していた統一重工業で4月27日、初めてストライキに入ることなく、賃上げ及び労働協約改訂交渉が妥結した。同社は1998年に不渡りを出した後、会社更正法の適用を受け、2003年2月にサンヨンに買収されたが、その後もしばらく労使紛争や職場閉鎖が繰り返され、経営状況は悪化の一途を辿った。

2003年に48億ウォンの赤字を出したのに続いて2004年に入ってからも赤字状態から容易には抜け出せないでいた。そのため、経営側は2004年の賃上げ及び労働協約改訂交渉中の4月2日に経営再建のために200人規模の休業休暇を実施し、350人規模の希望退職者募集に踏み切った。経営側はその背景について、「経営状況の悪化や過多な余剰人員などで経営危機に直面し、構造調整は避けられなくなったため、経営再建案への合意を労組側に求めたが、労組側が上部団体の方針を理由にそれを拒否したためである」ことを明らかにした。これに対して、労組側は「経営側は正式な交渉も行わず、一方的に雇用調整を強行している」と強く反発し、闘争体制に入る構えをみせるなど、労使交渉は再び難航した。

しかし、今度は労使紛争に発展することなく、労使は「賃金の凍結と整理解雇禁止」を柱とする合意案を見出すことができた。合意案の主な内容は次の通りである。第1に、賃金の凍結、その代わりに交渉の早期妥結激励金名目で40万ウォン、経営目標(営業利益81億ウォン)の達成に合わせて成果給350万ウォンをそれぞれ支給する。第2に、整理解雇は実施せず、250人に対して休業休暇措置(基本給の70%支給)をとる。休業休暇の対象者に対しては営業利益が発生した時点で段階的に復職させることを原則とし、新規雇用の創出や経営上の必要がある場合は中間決算以前にも必要な人員を早期に復職させる。第3に、雇用創出のために、会社が推進中の事業拡大プロジェクトと生産ラインの再配置に伴う人員の配転・異動について労使は協議を経て推進する。

今回の労使合意は、2003年9月に賃上げ及び労働協約改訂交渉が妥結した際に採択された労使共同宣言、つまり「今後2年間如何なる不法争議行為も行わず、平和的な労使関係が定着するよう努める」という約束が守られたことを意味する。労使間の信頼関係の漸進的な回復につながるという点でその意義は大きい。例えば、統一重工業の新経営者は労使合意の背景について、「2003年2月の買収以降労組との対話を重ねてきたことがようやく実り始め、信頼関係が芽生えたことが大きい。経営情報を率直に伝え、約束したことは必ず守ろうとした。特に2003年に約束した財務構造の改善策を履行したのを機に労使間の信頼関係が芽生え始めた。ただ、今回の合意で労組の組織文化が完全に変わったわけではなく、徐々に変わっていく過程にある。合意事項が守られることが何より重要である」と指摘している。

要するに、今回のケースは、経営側がイニシアティブをとって労組との対話及び約束事の順守に努めれば、労組も経営側の提案に耳を傾け、進んで協力するという信頼関係が少しずつ積み上げられ、前述のような「先経営再建・後成果配分」の労使合意につながるという好循環が生まれることを示唆しているのである。

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