英国失業率 記録的低水準に

カテゴリー:雇用・失業問題統計

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  • 国別労働トピック:2004年6月

経済の好況を受け、英国労働市場は堅調に推移している。政府統計局(ONS)2004年5月12日の発表によれば、2004年3月の失業率が4.7%と1984年の調査開始以来最も低い水準になったほか、就業者数も増加した。その一方で製造業における就業者数は減少しており、産業構造の変化が進展していることがうかがえる。(表1)

就業者数(2004年1-3月期)は前期(2003年10-12月期)より19万5000人増加した2834万6000人で、就業率は0.4ポイントアップの74.9%となった。フルタイム労働者が13万9000人、パートタイム労働者も7万8000人増加したことにより、残業時間およびボーナスの増加が給与額を押し上げるかたちになっている。2003年2-4月期における就業者数の増加要因がパートタイム労働者であったのに対し、今回はフルタイム労働者の増加がより大きく寄与していることから、総労働時間および所得の伸びが顕著となっている。

個別産業ごとに見ると、製造業部門の雇用は減少傾向にあり、1978年の調査開始以来最低の水準にまで低下した。しかし製造業の雇用減少をサービス産業の雇用吸収力の高さが、打ち消すかたちで伸びている(表2)。

イングランド北部はマンチェスターやリバプール、リーズ、ヨーク等の都市を有し、伝統的に製造業の比重が高い地域であるが、北東部の失業率が5.3%、北西部が4.6%といずれも2003年第4四半期より低下したことに関して、北部TUC書記長のケヴイン・ローワンは、失業率の低下そのものは歓迎すべきニュースであるとしながらも、創出された雇用のうち9000がサービス業によるもので、製造業では2000の雇用が失われたという現状をふまえ、「製造業や建設業といった産業は、技能の継承や国際競争力等の面において重要な役割を担っている」とし、製造業における雇用確保の取り組みは重要との見方を示している。

表3:地域別失業率
地域別失業率

資料出所:英国政府統計局HP

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