UNITEとHEREが合併

カテゴリー:労使関係

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  • 国別労働トピック:2004年5月

2004年2月26日に、アメリカの全米縫製・繊維労組(UNITE:組合員数約18万人)とホテル・レストラン従業員組合(HERE:組合員数約25万人)が、合併することで原則合意した。新しい組織名は、「UNITEHERE」となり、約44万人の組合員と40万以上の退職者組合員を持つ組合が誕生することになる。今回の合意は、7月にシカゴで開催される予定の特別共同会議で正式に批准される予定。

合意案によると、全米縫製・繊維労組のブルース・レイナー氏が総会長となり、ホテル・レストラン従業員組合のジョン・ウィルヘルム氏がサービス・接客産業部門の会長に就任する。この2名の会長は予算や人事に関する権利を共有することになっている。また、新組織は、ニューヨークに本部を置き、合併により合計約36億ドルの組織資産を有することになる。

今回の合併は、主にサービス業や製造業分野の労働者の労使交渉力の強化を目的としている。ここ数年、サービス業や製造業分野では、海外への雇用流出や巨大なグローバル企業が急成長していることもあり、協約締結交渉が労働側にとって厳しいものになりつつある。これを打破し、サービス産業労働者の公正な労働条件を確保し、積極的な組織化運動を展開する狙いがある。

UNITEとHEREは、過去において何回か共同行動を行っている。多数の組合員に中南米系やアジア系移民の組合人を多数抱えるUNITEとHEREは、昨年秋の移民労働者のフリーダムライド(アメリカ移住労働者への正当な市民権を求めるために9つの都市をバスで回るイベント)に関する運動を共同で実施し、何十万にも及ぶ移民労働者の支持を得て成功させた実績がある。また、昨年9月にはエール大学職員の労働改善を求めたストライキを共同で実施した際に、地区の交通を妨害したという理由でレイナー氏とウィルヘルム氏の両トップが逮捕されたこともある。

現地紙よると、ウィルヘルム会長は、アメリカ労働総同盟(AFL-CIO)のジョン・スウィーニー会長の後継者として有力視され、労働界に強い影響力を持つ。ウィルヘルム氏とレイナー氏は、ともにAFL-CIOに対し、より多くの資金を組織化に投入するべきであると主張している。新しい組織であるUNITEHEREは、およそ予算の半分が組織化に充てられる予定である。

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