公的職員の人員削減政策続く

カテゴリー:雇用・失業問題

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  • 国別労働トピック:2004年4月

2003年12月の5万人公務員削減案に続き、新たに10万人公務員削減案が浮上している。また、1997年の経済危機後問題となっていた国営企業の民営化も具体案が出ており、公的公務員と公的機関職員の削減は避けられない状況となっている。

公務員改革、10万人を削減予定

公務員委員会(OCSC)は、2003年12月に発表した5万人公務員早期退職制度に加え、新たな業績評価制度を導入し、評価が低いとされた公務員のうち、全体の2%にあたる10万人程度を早期退職させる方針を明らかにした。

現在タイの公務員は約200万人。2003年度(タイの財政年度は2003年10月~2004年9月)の政策として政府は、公務員の人員削減政策を次々と打ち出しており、財政補正予算も145億9000万バーツを充てることになっている。

業績評価システムは、2004年4月1日から開始され、10月までの6ヶ月間の職務業績が評価される仕組み。10月の時点で、業績が悪いと判断された職員には2つの選択肢が与えられる。1つは、最高12ヶ月分の月給に相当する退職金などを得られる早期退職制度を利用する方法。もう1つは、業績を向上させることを約束する契約書にサインした上で仕事を継続して行い、6ヵ月後の再度評価される。2度目の評価が悪かった場合は、6ヶ月の月給分に相当する退職金を支給され、退職することになるという。

早期退職制度には応募者殺到

プリチャOCSC委員会副事務局長によれば、すでに発表された5万人早期退職制度(詳細は本誌2004年3月号を参照)には、委員会が期待していた数よりはるかに多くの応募者が退職を希望したという。その中ですでに4万6974人の退職希望者を登録したとのことである(保健省は除く)。最も退職希望者が多かったのは教育省で、2万8443人が応募し、最も希望者が少なかったのは防衛省で4764人となっている。

バンコク輸送公団(BMTA)の早期退職制度

バンコク都民の重要な足となっている都営バスを運営するバンコク運送公団(BMTA)も2004年初めから早期退職制度を実施。すでに職員900名が応募したことを発表している。BMTAは約400億バーツの巨大な累積赤字を抱え、経営の建て直しを迫られている。特に全支出の約36%を占める人件費の削減が必須課題となっており2003年にも約200人を解雇している。

またガソリン価格が値上がりしたことをうけ、2004年2月からバスの最低運賃(エアコンなしのバスやミニバスなど)を3.5バーツから4バーツに引き上げている。

都バスはその料金の安さから多くの都民に利用されているが、数年前に開通したBTS(スカイトレイン)の影響もあり、ここ10年で利用者は4割ほど減少しているという。2004年8月に開通する予定の地下鉄も加わり、今後もバスの利用者は減少することが予想されている。

地方電力公社(PEA)でも600人の早期退職制度

2004年に国営から民営に転換し、タイ証券取引所(SET)に上場する計画となっている地方電力公社(PEA)でも、2004年1月15日、早期退職制度を導入し、600人の退職者を募ることが明らかとなった。退職者には月給8~15ヶ月分の退職金が支払われる予定となっている。

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