MTUC、人的資源相に「不信任決議」

カテゴリー:労使関係

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  • 国別労働トピック:2004年4月

マレーシア労働組合会議(MTUC)は1月、労働問題に対するフォン・チャンオン人的資源相の消極的な取り組み姿勢を訴えるため、同相に対する事実上の「不信任決議」をアブドラ首相に提出した。MTUCと同相の関係悪化が深まるなか、人的資源省は2月末に政労使三者協議を開催することで、問題解決の糸口を探ろうとしている。

MTUCは1月10日の特別労働会議で、未解決の労働問題をまとめた覚書を作成し、人的資源相に対する事実上の「不信任決議」をまとめ、アブドラ首相に直接提出する方針を固めた。具体的には、

  1. 新たな労組の承認や、使用者の労組妨害活動に対する取り締まりを怠ってきた、
  2. 労使紛争の解決が遅延している、
  3. 社会保障機構(SOCSO)が加入者への支払いを拒否するケースが増えた、
  4. 解雇の手段として自主退職制度を導入した-など。

これに対し、フォン人的資源相は、

  1. 就任した1999年以来、約100の労組が新設された、
  2. 労働裁判所の裁判長を12人増やした、
  3. 請求に対する支払いの比率が上昇している-

などと個別に反論。省全体が問題解決に向けて取り組んでいると強調した。

MTUCの覚書を受け取った政府は1月28日の閣議で、フォン人的資源相の言い分を認め、同相は閣議後の会見で、政府・組合間で信頼関係を構築する重要性を訴えた。

同相は閣議で、人的資源省が昨年開いた2回の会合にMTUCの代表が出席したことを説明。閣僚らは未解決の労働問題に対する同省の取り組みを評価したと伝えられている。同相はまた、問題解決を図るために省内に作業部会を設置すると同時に、労使紛争の調停・裁定手続きを定める関連法の改正をMTUCが求めている問題について、検討する考えを表明した。現行法では労使関係局が紛争を調停し、合意できない場合に労働裁判所が裁定を下すが、人員不足のために未解決のケースが山積している。

人的資源省によると、同作業部会が準備する調査結果などについて話し合うため、2月末に政労使の三者協議を開催する。マレーシア労働組合会議(MTUC)とマレーシア経営者連盟(MEF)、国家経済行動評議会(NEAC)の各代表が出席する。フォン人的資源相は、労組側との非公式協議を増やす方針も表明。MTUCのモハメド・シャフィー副議長も三者協議を歓迎する意向を示した。

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