改革の結果、多数の失業者が1月1日に権利を失う

カテゴリー:雇用・失業問題労使関係

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  • 国別労働トピック:2004年3月

2002年12月20日に経営側と3つの労働団体(民主労働同盟=CFDT、管理職総同盟=CGC、キリスト教労働者同盟=CFTC)が合意に達した全国商工業雇用協会(UNEDIC)再建案が実施に移される結果、1月1日には、18万人から25万人の求職者が「失業手当受給権喪失」の憂き目に遭う。同じ日に、特別連帯手当(ASS)(失業保険制度の補償を打ち切られた失業者へ国が支払う手当)の改革も発効する。ASSは期間が短縮され、およそ13万人が改革の犠牲になる。失業者を引き受ける2つの制度で引き締めが決定されたことにより、数万人が補償受給の権利を完全に失う。

失業の増加と2005年に150億ユーロ以上に達する赤字に対応するために、そしてUNEDICが2004年春に支払停止に追い込まれることを避けるために、失業保険協約の調印者たちは2004年1月1日に発効する数多くの措置を決定した。労使が負担する保険料の引き上げや銀行からの借り入れのほかに、この改革案には数日から数ヵ月にわたる補償期間の短縮が含まれており、大多数の求職者は理論的な最長補償期間が30ヵ月から23ヵ月に削減される。

2003年5月28日付の覚書の中で、UNEDICはこの措置によって実際に影響を受ける失業者の数を61万3900人と評価していた。当時、統計分析家たちは、36万1500人の失業者が「失業手当受給権喪失」に陥り、25万2500人が2004年1月1日にあらゆる手当を失うことになると推計していた。一定数の失業者が雇用に復帰することを考慮に入れ、この数字はその後、若干下方修正された。そのときのミシェル・ジャルマンUNEDIC会長(CFDT)は15万人から8万人が新年の到来とともに雇用復帰手当を失うだろうと推計した。「結局、2年半で、およそ50万人が失業補償の権利を7ヵ月ほど削減された」という。

この修正された推計は協約に調印しなかった労働総同盟(CGT)と労働者の力(FO)、そして各失業者団体によっても確認されている。フィヨン社会問題相へ宛てた12月24日付の請願書の中で、失業対策行動委員会(AC)、雇用情報連帯協会(APEIS)、失業者・不安定雇用者国民運動(MNCP)、そして失業者CGT は、同相に、「2002年12月31日以前に認められていた権利」を2004年1月1日に改める10条など、失業保険協約の「承認撤回」を求めた。4団体の責任者は、「危険な遡及的計算手続きによって地域商工業雇用協会(ASSEDIC)の権利が削減されることになる数十万人の労働者の不安定化を避けるべきだ」と要求している。

新しい規則が発効すれば、UNEDICは大幅な節約が可能になる。この失業保険機関は現在失業者の53.7%を補償しているが、その割合が2004年には45.3%に低下する。一般的に言うと、UNEDICによって補償されていた失業者がその期間を満了すると、3つのモデルケースが考えられる。すなわち、3分の1は連帯制度(ASS)へ移り、別の3分の1は社会復帰最低所得(RMI)の世話になるが、残りの3分の1はあらゆる補償受給権を喪失する。

UNEDICでの新たな補償手続きの創設によって当然、ASS受給者が増加することになるが、政府はそれを予期して秋に、これまで無期限に支払われてきたASSに期限を設けることを決めた。この改革も新年とともに発効する。

新たな連帯制度の手当受給者はもはや2年しか補償されない。現在ASSを受給している人たちももはや3年しかこの手当を受け取れず、この措置は彼らに2004年7月1日から適用される。労働市場の状態や企業の採用方針を考慮して、雇用へ復帰するチャンスがほとんどゼロに等しい55歳以上の失業者だけが、2004年に13万人が犠牲になるこの措置を免れる。

この改革はフランス民主連合(UDF)のバイルー党首など、与党の一部からも厳しく批判されている。そのためもあって、上院では、影響を緩和するために財政法改正案が可決された。これにより、ASSの受給者には特別委員会で自らの状況を説明する機会が与えられ、事情によっては、手当支払い期間の延長が認められることになった。ともあれ、この改革で、国も2004年には1億5000万ユーロ、2005年には5億ユーロの節約が可能になる。

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