イタリアにおける労使相互団体の役割 ―その誕生から労働市場改革まで

カテゴリー:労使関係

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  • 国別労働トピック:2004年2月

1.白書およびイタリア協定における労使相互団体

労働市場改革が進むなか、労使相互団体の役割および機能が再び注目を集めている。

2001年10月発行の『労働市場白書』第2章(企業を活性化し、労働の質を向上させるための提案がなされている)ではすでに、労使関係の任意的認証手続きの試みおよび生産市場からの職業的需要の評価に関して、労使相互団体が就業助成措置および社会的緩衝装置として機能してきたことが指摘されていた。

一方、2002年7月5日のイタリア協定でも、労使相互団体の持つ重要な役割が確認された。なかでも、失業中の労働者の保護を強化し、こうした失業者が労働に対し責任ある積極的な姿勢を持つよう、積極化保護策(すなわち、所得支援措置から職業指導・訓練、就職・自発的就職へという流れに従い保護を実施する)を実施する際に果たす役割が強調されていた。同協定では、積極化保護策を整備のほか、様々なレベルにおける労使間の任意の協調による補完的、付加的または代替的保護の保障や、労使相互組織により運営される給付についても言及がなされた。また、既存の制度の合理化に加えて、給与補填措置、職業指導・訓練およびその他の労働市場組み入れ措置との結びつきを、労使相互組織などを通じて強化することも重視された。最後に、失業手当を補完または代替する社会的緩衝措置を利用できない生産部門については、基本的な補完的または代替的給付の運営を、労使による協定に基づき、労使相互組織を通じて促進することも定められた。

このように、政府が労働市場白書のなかで提案し、イタリア協定で確認された労働市場の現代化策では、協働的労使関係システムを推進する重要性および必要性が明らかにされたわけである。

この案は、2003年9月10日委任立法276号により実現するに至った。同法は、労使相互団体に対し、求人と求職を仲介する役割や契約類型の任意的認証を行う権限、見習い労働に関して職業訓練活動を指導し運営する権限などを認めた。さらに、法律案848号の2では、労使間の相互扶助や訓練に関する伝統的な機能に加えて、許可および認証に関する新たな機能にまで、労使相互団体の権限を拡大した。また、就業支援や社会的緩衝措置に関する提案もなされた。

2.労使相互団体の沿革およびその機能

労使相互団体は、団体交渉を通じて労使により設立される組織である。

同機関の誕生の時期を特定するのは難しい。1950年代にはすでにその萌芽を見いだすことができる。1970年代になると、団体交渉を通じて、労働紛争の分析や調停、契約の解釈、契約類型の特定などの問題を管理するために、現在の労使相互団体に近い形で、労使同数代表からなる組織が形成され始めた。情報提供および諮問に関する1984年IRI規約では、企業および労働組合の同数代表からなる委員会モデルが提示された。1980年代末には、諮問権限を持つ労使同数代表組織が、様々な規模の民間企業で増加した。

転換期は1990年代前半に訪れた。労使は、労使相互組織の権限の内容や活動の範囲を再定義することで、同組織に新たな推進力を与えたのである。実際、この時期には、複数の産業部門の労働者代表と使用者代表により産業部門間労使協定が締結された。特に、情報提供に関しては、その特徴および権限が強調された。こうした協定としては、Confindustria(イタリア工業同盟、1993年1月)、職人部門(93年2月)、Confapi(イタリア中小産業同盟、93年5月)等で結ばれた協定や、協同組合に関する93年7月23日の同盟間規約がある。1993年7月19日法律236号9条では、立法者自身が、全国レベルの最も代表的な労働組合と使用者組織との間で締結された協定により設立される労使同数代表組織の重要性について触れ、こうした組織に対し、地域の就業状況を分析・研究し、職業上の需要に関する調査を実施するため、州および自治県との協定を締結する権限を認めていた。

イタリアの労使関係にとっての新たな節目となった1993年7月23日規約もまた、労使相互団体に多くの権限を付与している。なかでも、若年就業および職業訓練に関する章では、労使相互団体に対し、訓練労働契約や見習い労働契約に関する指導および検査の権限が認められている。具体的は、職業訓練コースの設計、労働移動手続きの対象となった従業員の再就職支援および労働市場における弱者の就業支援の実施などがある。

1996年9月の労働協定も、特に職業訓練政策との関連で、労使相互団体の役割について述べている。実際、職業訓練に関する章では、労使相互組織の有効活用などにより、訓練に関する需要を分析することによって、政策の再評価をすべきだと強調されている。さらに、トレウ法(1997年6月24日法律196号)では、職業訓練の整備に関する17条で、労使主体という考え方を強化することで、イタリアの継続的訓練システムを構築していくべきことが主張されていた。

3.構造、形式および機能

労使相互団体の重要性を理解し、その役割と構造の枠組みを示すには、同組織の規律について分析しなければならない。これにより、一般的な特徴が浮かび上がるだろう。

何よりも重要なのは、通常採用されている形式を正しく理解することである。多くの場合、労使相互団体は、イタリア民法典36条以下が適用されない(すなわち、労働者組織と使用者組織との合意の結果を享受しない)団体として設立されている。民法典2615条にいう組合としての有限会社や、民法典第3部2章1編にいう営利目的を持たない団体まで、その形式は様々である。

労使相互団体は、労働組合としてはCGIL(イタリア労働総同盟)、CISL(イタリア労働者組合同盟)およびUIL(イタリア労働連合)の3大総連合が、使用者としては単一(例えばConfindustria)ないし複数(Congartifianato(職人同盟)、Cna(職人および中小企業全国同盟)、Casa(職人労働組合独立同盟)、Claai(イタリア職人自由協会同盟)など)の団体が署名主体となり設立される。

労使相互団体の組織は、組合員の定期・臨時会議、理事会または重役会、会計監査会により構成される。すべての管理行政組織は、労使同数代表原則により任命される(一般には任期3年で、再任可能)。団体の法的代表者である理事は使用者組織により任命されるが、副理事は労働者組織側が任命権限を持つ。団体内の組織ではすべて、重要事項の決定については満場一致の原則が適用される。

労使相互団体のシステムは、州レベル(場合によっては県レベル)に分権化されている。全国レベルの4つの団体[職人労使相互団体、Confindustria(労使相互団体)、Confapi(労使相互団体)および協同組合労使相互団体]は、連合化された産業部門間組織である。この4団体のほか、部門別団体としての性格を持つ旅行労使相互団体、商業労使相互団体がある。

労使相互団体は多くの権限を持つ。まず、訓練事業および制度の推進・調整がある。具体的には、訓練事業の利用拡大を進めるための活動を促進し、地域レベルでの訓練制度の発展を推し進める。さらに、こうした訓練事業の性質を認証し、一定の団体が特定の市場で活動する際の信任を与える役割も有する。訓練労働契約の内容等を決定する活動が、こうした例として考えられる。

労使相互団体の基本的な役割のうち伝統的なものとしては、このような訓練事業のほか、労働市場事業にかかわる相互扶助的なサービスの提供もある。相互扶助的なサービスとしては、労働者の所得支援措置や企業の技術組織の改革支援などがある。つまり、労使相互団体は、この点に関し、給与補填金庫の欠陥(小企業は除外される)を補完する役割を果たしているのである。こうした措置としては、企業(場合によっては、企業の従業員)により設立される財政基金への援助や融資がある。

4.手工業部門の場合

手工業は、自立的な労使関係システムを構築するために、イタリアにおいて相互性の原則を一番最初に拡大・強化した領域である。

実際には建築部門のほうが先であるとの説もあるが、建築金庫の制度は、団体交渉で定められた給付を支給するために、この部門の企業連合と労働者との共同財政運営を初めて実施したにすぎない。つまり、建築金庫が当該部門内部の組織にとどまっていたのに対し、手工業のほうは、製造部門(繊維・服飾業、木材・家具製造業、食品産業、機械設備業等)から芸術部門(貴金属細工職人、陶器・ガラス細工職人等)、個人接客業(理髪・美容業等)、団体へのサービス業(設備設置、自動車修理工等)まで、多様な部門を網羅する労使相互団体の制度を導入したのである。

相互性原則およびその機構の発展・強化と経済・政治・社会の発展との間に関連性があることは明らかである。イタリアの多くの部門に労使相互団体・組織が存在するようになった今日では、政府および議会もまた相互性の問題について注目している。実際、最近の労働市場改革および職業訓練改革では、相互性の原則を強化するため、(ただし、労使との対立および紛争を生まないような形で)労使相互団体に関する新たな措置が定められている。

一方、1970年代末の状況は以下のようであった。

  • 大規模産業部門以外は、団体交渉および労使関係はほとんど発展していない。
  • 労使関係から新たな解決策を引き出そうということで、立法者の関心は、工業部門の労働組合の動きに向けられていた。
  • ヨーロッパ(特にドイツ)で次第に主張されるようになっていた労使参加という問題は、1974年以降の大産業部門の団体交渉に大きな影響を与えていた。

現在と過去の状況を比較すると次のようなことがいえる。すなわち、当初、相互性が手工業の労使関係の主たる原動力となっている以上、今日では、相互性(つまり、労使相互団体・組織)の発展の度合いが、その労使関係の状態を事実上示すものとなっているのである。

以上の枠組みをよりよく理解するには、手工業部門における相互性の歴史を追う必要があろう。

5.手工業部門の協定における相互性

1970年代末、手工業では、自律的な産業別全国交渉が行われていなかった。実際、団体協約を持つ部門はほとんどなく、あったとしても、同類の工業部門に適用されている誤った協約条項に基づくものであった。

労働組合側が要求したのは、このような工業部門の協約を基礎とする協約の更新であり、この結果、1970年代末から80年代初期にかけて、手工業企業と労働組合との紛争が激化することになった。実際のところ、手工業企業は、組合が要求していた保護の経済的・組織的負担を負うことはできなかったのである。工業部門の企業について定められていたのと同様の規制を、小企業・零細企業に適用することは困難だった。組合の要求に対し好意的な姿勢を示しつつ、企業外の他の問題に紛争の対象を移す必要があったのである。

相互性に関する初の合意は、1983年に成立した、企業代表に関するものであった。使用者と従業員との関連性をよりよい形で確保するため、企業代表は、8人以上の従業員(見習労働者を含む)を抱える手工業企業のなかから選ばれた。その総給与額については、従業員に関して2時間分(年16時間分以上)留保され、全国労働協約で、代表者としての活動遂行のために留保される額を利用すること、または、留保される額を相互扶助目的で労使相互団体へ支払うことを決定できるとされていた。また、同合意では、地域レベルでの労使相互団体の設立が定められた。この労使相互団体は、労使同数の代表者より構成され、当該地域の手工業企業および労働者組織により合同で運営された。

労使相互団体に関する初の全国レベルの規制は、このように手工業における団体交渉で定められた。さらに、この規制はすべての全国労働協約に取り込まれた。1983年の合意以降も協約は更新された。

労使相互団体は、労働者に支給すべき契約上の補完的給付(疾病、出産・育児、労災)を支給し、管轄権を持つ地方自治体との合意のうえ、職業訓練コースを設置・運営するため、相互扶助の基準に従い措置を講ずることができた。また、手工業部門や当該地域において構造的な危機や自然災害が生じた場合、同団体は、地方レベルの合意に基づいて、措置や支援を実施することができた(公的機関と合同でも可)。さらに、企業の労使相互団体への任意参加や使用者負担(限定的に労働者)による拠出も定められた。

しかし、手工業部門の労使相互団体システムにとって真の転換点となったのは、手工業企業および労働組合の全国組織が、労働組合の代表性および所得支援について合意に達した1988年7月21日である。この合意は、現行の手工業労使相互団体システムの基礎となった。

この場合も、相互性原則を適用することにより、企業の組織・経済状態と組合の要求とを両立させうる解決策がとられた。

法律および労働協約で定められた保護を小規模企業にも拡大せよという要求から、従前とは全く異なる組合代表システムが成立した。すなわち、1983年合意の規定に替え、従業員数15人までの企業については、各地域(通常は各県)に存在する手工業企業の従業員数に応じて、地方レベルの組合代表が設置された。したがって、企業代表と労働者代表とが恒常的に会合を持つ場が各地域に成立したのである。この会合では、企業レベルで解決できない個別ないし集団紛争が生じた場合に、これを検討し、場合によっては解決することができた。言い換えると、「紛争」は企業外に移り、代表者が「相互的な」場でその権利を行使したのである。代表者がその活動を遂行できるように、企業は、州レベルで設立される基金に従業者のための拠出金を納付する義務を負った。

同じく1988年の合意で、所得支援策も成立した。この点に関する合意が成立したのは、手工業企業が労働時間の削減という組合の要求を受け入れられなかったためでもあり、また、公的社会緩衝措置の仕組みから完全に除外されている企業から、生産活動が一時的にではあれ停止されるような危機状況において、労働者の職業上の能力を維持したいという要請があったためでもある。すなわち、この場合にも、相互性の原則により、所得支援に関する(現在でも)唯一の私的かつ自律的な措置モデルを見いだすことができたわけである。

また、州レベルでも別個基金が創設された。企業は、労働者のために年10時間分の報酬に相当する額を同基金に納付した。同基金は、事業者の意思と関係のない重大な出来事(自然災害、エネルギー源の供給停止等)により事業を臨時的に停止する企業がある場合、当該企業の労働者の所得支援を目的とする予防的な給付に、その財源の80%を充てた。残りの20%は、生産サイクルの復旧の場合、当該企業に関係のない要因や主体のため生産活動を再編する場合、技術・生産過程を変更する場合、企業サービスを実施する場合(訓練活動や技術普及など)のため、企業用に充てられた。

手工業部門において、1988年の同意は、建築業および輸送業を除くほぼすべての全国労働協約で受け入れられ、イタリアのすべての州で実施された。これにより、イタリアにおける労使相互団体制度は普及・強化されたのである。

最後に、労使相互団体制度を「定着」させたといえる合意が、1994年に締結された。これにより、手工業の労使相互団体システムに、労働安全衛生に関する保護が加わった。すなわち、州の労使相互団体の下に、安全に関する労働者地域代表のための基金が設置された。

それから約10年の時を経た今、労使が将来を見据えて制度を熟考する必要性が再び求められている。

6.イタリアの手工業部門の特徴

手工業部門における労使相互団体の役割をよりよく理解するには、その性格、生産構造および就業に関するデータを提示する必要があろう。

手工業企業数を見ると、イタリアの生産構造において、手工業が中心的な役割を果たしていることがよく分かる。2002年のデータでは、登録企業の4分の1が手工業である(北部の州に限れば28%強を超えている)。具体的に見ると、イタリアでは、手工業部門に関して約180万の事業者が142万9180の企業を運営しており、150万以上の従業員を抱えている。したがって、手工業全体で見ると、330万を超える就業者が同部門で働いていることになる。

手工業企業は平均2.3人の従業員を擁している。企業全体の52%以上(南部では60.4%)が従業員1人、20%が2人、18%(南部15%)が3~5人である。従業員数が10人を超える企業は3.8%にすぎず、その多くが北西部および北東部に集中している(それぞれ4.1%、5.7%)。

地域別に見ると、手工業企業の多くが集中しているのは北部であり(北西部30%、北東部24%)、中部および南部は、それぞれ20%、26%にすぎない。

手工業部門は、サービス業、建築業および製造業の3つに分けられ、それぞれがほぼ同じ割合である(それぞれ、35%、34%、31%)。この3大業務のなかに、さらに細かい産業部門が存在している。

7.社会的緩衝措置制度

私的制度と公的制度との混合システムを、1980年代末から交渉により構築してきたのは、手工業部門のみである。

交渉で定められた措置を実施するのは、手工業部門の労働協定や労働協約に署名した経営者組織および労働組合の同数代表者から構成される州の労使相互団体である。州の労使相互団体は、労働協約で定められた条件および方法に従い、企業および労働者のための措置や給付を管理する。

特に所得保障に関しては、州の労使相互団体内部に、従属労働能力および企業家能力保護のための基金が設置されている。同基金は、団体交渉で定められた方法により、企業の負担する拠出金で運営される。ここでは、公的保険義務から除外された全部門の企業が、複数産業部門から構成される州の基金に対し、従業員1人につき年間一律の拠出金を支払う義務を負うという、相互扶助の原則に基づく保護モデルが採用されている。その目的は、景気を理由とする業務停止ないしは労働時間の削減、または、天災の影響を受ける労働者のために、所得保障措置を実施することである。

まず、景気を理由とする業務停止の場合は、平均年3カ月間の給付が支給される。その額は、失業手当と合計して、賃金の約80~90%である。この給付は、措置の原因を具体的に評価できるよう、また、労働者のみならず企業の支援にもなるよう、組合上の手続きに従い支給される。

景気を理由とする労働時間削減の場合(連帯契約が利用される)、労使相互団体は、公的給付(労働時間の削減のために失うことになる賃金の75%を保障)の半額に相当する給付を支給する。

最後に、自然災害が生じた場合、公的措置が実施されなければ、労使相互団体は、最大で賃金の80%に相当する緊急所得支援金銭手当を支給する。同時に、被害に遭った企業の支援措置も実施する。

8.労働市場改革における労使相互団体

前述のように、最近実施されたイタリアの労働市場改革では、労使相互団体がこれまで果たしてきた役割を生かし、また、労使相互団体に対し新たな機能を認めている。

「労働市場規制のための優先的な拠点」とされている労使相互団体には、以下のことが求められる。

  1. 質の高い正規就業の促進
  2. 求人および求職の仲介業の実施
  3. 訓練活動の立案および企業における職業訓練の実施方法の決定
  4. 差別禁止対策および弱者統合策の促進
  5. 訓練および所得保障に関する基金の相互管理の実施
  6. 労働契約、その正規性または社会保険料に関する妥当性の認証
  7. 労働安全衛生対策の促進
  8. 法律または労働協約で定められた他の活動および役割の実施

手工業の労使相互団体システムにおいて、同団体が過去に果たしてきた役割は、企業および労働者のために交渉で定められた給付を、相互扶助的に運営するということに特化していた。それが今、その役割および責任をさらに発展し増進する新たな機会を得たわけである。

手工業およびその労使相互団体システムは、労働市場および就業に関して生じている大きな変化に対処するため、この種のものとしては他に例のない、自らの経験の活用・強化をしなければならない。手工業企業および労働組合が、先に引用した協定に署名し、手工業における社会的緩衝措置改革の基礎となる原則を決めたのは、まさに、こうした変化をにらんでのことである。ここでは、この協定の内容を要約しよう。

まずは、協定が依拠している前提条件である。

  • 労働活動の停止または縮小の場合にも、失業手当を支給すること。
  • 労使相互団体制度を通じて、公的給付を交渉に基づく私的財源により補完すること。

労使は、社会的緩衝措置制度改革として、公的財源と私的財源によりまかなわれる新たな機関を創設し、以下の場合において、手工業労働者の所得保障を行うこととした。

  • 短中期的な労働活動の停止または縮小
  • 自然災害または例外的事象による業務の停止ないし縮小

公的措置は、以下のことを実施しなければならない。

  • 現行の通常失業手当を超える給付措置を定める。
  • 労働活動停止または縮小の期間につき、社会保障制度を定める。
  • 労働関係の解消により支給される失業手当の期間および額を縮小しない。
  • 行政手続き全体がよりよく機能するよう、手続き、要件および確認を簡素化する。

一方、複数部門間および州レベルの交渉に基づく措置は、次のようなものでなければならない(特殊な状況の場合にのみ、全国レベルの措置が定められる)。

  • イタリア全国に関し一律最低割合を基礎とする。
  • 労使が、上記の割合を引き上げる可能性を定める。
  • 機関を利用することの多い企業ないし部門が負担する拠出金に関して、収支バランス管理システムを定める。
  • 手工業の労働協約適用範囲に含まれる企業による財政運営を義務づける。

以上のようなシステムには、以下のことが要求される。

  • 継続的訓練の見直しと関連させた訓練措置
  • 労使の協約上の役割の強化
  • 労使の協力関係の強化および発展
  • 企業のためのインセンティブ措置(租税措置等)

以上の原則を受けて、労使は、社会的緩衝措置制度改革に関し政府への提案を決定するため、一連の会合を設けることを約束した。

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